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天才少年は檻の中  作者: ゆきや
檻の中
2/12

飛び降り、目覚め、友達

目が覚めたとき、俺がいたのはベットの上だった。

なぜ、助かってしまったのだろうか。

両親も、兄弟たちも、クラスメイト達も、教師たちも、みんな泣いていた。

よかった、助かってよかった。

そういいながら。

俺は2か月も眠っていたらしい。

みんな、俺を心配していたらしい。

薄情な奴らだ。

今まで話したことがない奴が、俺を勝手にライバル視してきた奴が、俺を無視していた奴が、みんな声をそろえて俺の無事を祈っていたなんて。

笑えるだろう?

俺はなぜあんなことをしたのか聞かれた。

でも、答えなかった。

答えられなかった。

だって、声が出なかったから。

担当医が言うには、一時的なショック症状らしい。

そのうち治るんだとさ。

両親は後悔していたらしい。

兄弟たちも…

別にどうでもよかった。

なぜ、今になって気が付くのだろう。

だって、俺はもう感情が凍っていた。

喜怒哀楽が、分からなかった。

嬉しいってなんだろう。

怒るってなんだろう。

悲しいってなんだろう。

楽しいってなんだろう。

心配って、なんだろう。

後悔って、なんだろう。

分からない。

そんなもの、俺は見たことも聞いたこともないからだ。

俺の肉体が回復しても、精神的なものはなくならない。

退院した後もそうだった。

俺は1人で部屋に閉じこもった。

みんな、何も言えない。

後悔しているから。

でも、俺は違う。

1人で稼いでいた。

ネットで、勉強しながら稼いでいた。

そんな生活を続けて、2年が経った。

ネットで知り合った人とオフで会うことになった。

相変わらず声は出ないけれど、その人は俺の事情を知っている人だ。

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