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007 なんの卵?

 ◇


「オアシスに到着!」

 砂漠のど真ん中でナビが元気よく宣言する。水なんてどこにもない。


「あのナビさん、どこにも水なんてないけど、どゆこと」

「大丈夫、大丈夫、トカちゃんから降りてこっち来て」

 と手招きするナビ。持って来た壺の水は飲みほして空なのだが、俺はまあナビのことなんだから大丈夫なんだろと思いついて行く。


「結構砂に埋まっちゃったなぁ、ここも」

 ナビは高さ1mくらいの石柱を見て言った。さらに石柱のくぼみを指さし魔石をはめ込むよう指示する。俺は魔石をはめ込んだ。

 しばらくすると、石からこぽこぽと水の音が聞こえてきた。そして魔石の周りから水が勢いよく噴出した。


「安心して飲める水だよ」

「おお、ありがとう助かったぜ、ナビ、この辺になんか食いもんはないかな」

 俺はたっぷりの水を浴びながら聞いた。


「うーん、無いね」

 ん、無い! 水だけ、ええぇ。

 どっと疲れが……トカゲに乗っていたのでそんなに疲れていないか。


「ナビ、ちょっと休憩してから出発しよう」

「いいよ、了解」


 ずっとトカゲゴーレムに乗っていたので尻の筋肉が痛い。少し動いて筋肉を解そうと歩き回ることにした。

 この辺も砂漠だけど、乾燥に強そうなトゲトゲな草も多くなっている。気温も少し高いような気がする。標高が低くなってきたのだろう。このまま進めば木々も増えてくるはずだ。木があれば食べ物だって……もう数口分しかない食べ物を思い浮かべた。

 適当に歩いて筋肉も解れたし戻るかと思い、トカゲゴーレムの方向に進もうとしたら地面に変なものを見つけた。

 

 なんだ?

 少し丸みを帯びた色の着いた岩かと思った。足で砂をどけてみた。汚れているが表面は岩石ではない。これは、知っている。

 これの周りを掘る、掘る、砂を小石を掘る。

 

「卵だ!」


 俺は両腕で抱える程大きな卵を見つけた。食えるかな?

 卵を抱えて水源まで戻ると、再び水を出し卵を洗った。だんだん表面が綺麗になるにしたがって卵の表面の紫色と青色がまだらに組み合わさった文様が鮮明になった。洗っていて気が付いたが、この卵は水を吸っているような気がする。砥石に水を含ませる感覚と似たような感じがある。途中で水を止めるのが可哀そうになり、そのまま水が掛かるように置いた。


 あれ、ナビがいない。よく居なくなる奴だ。

「まあ、そのうち戻ってくるかな」

 俺はトカゲゴーレムの背もたれに寄りかかり目を瞑った。


 ◇

 

「サブロー、この卵どうしたの?」

 ナビの声に起こされた。んっ、目を覚まして日の角度で時間を確認するがそれほど時間は経ってないようだ。

 卵のあった方角を指さし答えた。

「あっちで拾ったんだ、なんの卵か知っているか? 食える?」

「えー、食べるの? もったいなよ、孵化させようよ、このタマゴ生き返ったよ」

「生き返る? 生き返るって?」

「だって、サブロー水あげてるじゃん、このタマゴ喜んでいるよ、それに生き返って魔力通ってるから殻割るの無理だから」

「ええぇ、食えないのか、特大卵料理の数々が……」

「残念だね、サブロー」


「ところで、ナビ、これ何の卵だ? 変なもん出てこないよな?」

 ジト目でナビを見るが秘密だといって答えてくれない。お兄さん悲しいよ、妹がいっぱい秘密を持ってて!


 結局、ナビの卵を孵化させるという意見に負けて持って行くことにした。

 トカゲゴーレムに積んであった食糧壺はほぼ空なので卵置きとした。壺から転がり地面に落ちたとしても割れないらしい。そういや、ダチョウの卵って金槌で割るんだった。


「ナビ、出発するぞ」

 声を掛けトカゲゴーレムに乗る、するとゆっくりと進み始めた。


 今のトカゲゴーレムには目がある。初めは額に1つ魔石を埋め込んでいたが、速度が上がるかと思い左右に1つづつ埋め込んだ。見た目はまんま黄色い目である。魔力が無くなると白目に変わるのがおちゃめだ。なお、魔石を増やしてもトカゲゴーレムの速度はあまり変わらなかった。残念。


 ◇


「あー、きー、たー」

 大声をだした。トカゲゴレームの上では何もすることがない。おちおち寝ることもできない。一回、気を失ったように寝入ったときはトカゲゴーレムから落ちてしまった。事前に俺を踏まないよう命令していなければ踏まれていただろう。居眠り運転は大変危険だ。


「なに大声出してんよ、びっくりするじゃない」

「いやあ、暇でさあ、なんかない?」

「自分で考えなよ、私だって暇じゃなんだよ」


 そ、そんなバカな? 絶対暇だよね!

「……」

「何よ」

「……そうだ、俺の脳内にいろいろな情報を投影しているんだったら、レーダーみたいな情報も出せるのか?」

「レーダーが何かわからないけど、敵味方情報ってところだったらありかな」

「さすが、ナビさんいけるねぇ」

「ほめても食べ物は出ないよ」

 全然ほめてねぇよ。


「んん、そうだな、敵味方は対象の上部に八面体を出して、友好的は青、非友好的は赤、どちらでもない中立は黄で表示ってとこで、よろ」

「そんなんでいいの? じゃあいくよ、はいっ!」

 ナビはパチンを指を鳴らした。


「んぎゃー」

 一瞬で視界が黄色に染まった。右を向いても、左を向いても、上を向いても黄色一色だ。なんじゃこりゃ?

「ナビさん、視界が全部黄色なんだけど」

「うーん、たぶん虫とかに反応してんじゃない」

 じゃない、じゃないよ。お兄ちゃんはもっと気の利いた妹がいいよ!


「何とかしてください」

「しかたないな、調整するよ、重度の毒・麻痺・石化に関係する対象以外の小型生物は非表示、はいっ!」

「おっ、ほとんど八面体が無くなった。でも八面体デカくてじゃまだなぁ」

「つぎね、八面体はもっと小さくそして近づく対象は八面体に到達までの時間を表示、それ以外は八面体をさらに小さく、3Km範囲内を表示して範囲外は非表示、はいっ!」

「おお、いい感じになったよ、快適、快適」

 この索敵があれば待ち伏せは完全に防げそうだ。


 ん? なんか頭と体がだるくなってきた。手も持ち上げれないぞ!

「ナビ、なんかだるいんだけど」

「うん、そうなるよ、だって脳に大量の情報を直投影して加熱中で、さらに魔力も使って暴走中だもん」

 意識が朦朧としてきて手や足には全然力が入らない。


「ナビ、やばい」

「サブロー、頭の中でスイッチをイメージしてオフにしてみて」


「……オフ」

 なんとか、レーダーをオフにしたのを感じそのまま気を失った。 

 気が付いたときは、すでの日も暮れ村の近くまで来ていた。



サブローは卵とレーダーを手に入れました。

そして村へ到着。


次回、村に来た商人

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