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062 そうだ、ベリーグに行こう!

 ◇


 そうだ、ベリーグに行こう!


 ◇


 はい、すぐに捕まりました。首根っこを捕まれ、猫のようにソルに運ばれています。サーナバラに連行されています。こんな俺、領主です。


「ソル、見逃してくれ、俺はベリーグに行かなきゃいけないんだ。ベリーグは俺を待っているんだ」

「……」

「そうだ! ソル、いっしょにベリーグに行こう。俺を護って欲しい」

「! ……」


 おっ、ソルが反応した。いけるか?


「いっしょに旅をしよう、また、侍や忍者の話をしてやろう」

「!! ……」


 もう一息か?


「ベリーグに行けば、切れる剣と滑らない靴があるらしいぞ」

「主、それは本当か?」

「ああ、そう聞いたことがある。いっしょに行こう!」


「ソル、騙されちゃダメよ」


 げぶっ。


 声の主を見ようと振り返って、世界は暗転した。


 ◇


 目が覚めると暗い部屋の中だった。俺は椅子に縛られている。目の前には天井から床まで、黒っぽい1m幅ぐらいの布がいくつか垂れ下がっていた。目が暗闇に慣れてくると、布に何やら文字が書かれているのがわかった。目をこらす。


「1、声のみ?」


 どんな意味があるのだろう、この布には。左隣の布には、「7、声のみ」右隣の布には、「2、声のみ」と書かれている。そして、布の裏には人の気配がする、誰か居るようだ。


1「目が覚めたかね、サブロー君。これより、君にかけられている容疑の訊問を始める」


 俺の耳の中に何か詰められているようで、声がくぐもって聞こえる。男の声なのか、女の声なのか。

「こんな手の込んだことするのは、ナビだな。この縄をほどいてくれ」


1「ここに、ナビという人間はいない。わたしは、ナンバーワンだ、間違えないように」

「……」


 正面の1と書かれた布の裏から声が聞こえる。

「姿を見せてくれ、俺はなにもしていない、無実だ」


1「それはお前が判断する事ではない、我々が決める。それではお前の罪を問う。ナンバーツーよ、容疑を」


2「サブローに、んん、サブロー、あなたは、けも耳に触ろうといつも狙っていますね。先日は幼女の頭を触っていましたね」


「いや、あれは違う。開園準備が完了したと知らせてくれたから褒美に」


2「けも耳をさわられるのは褒美ではありません、セクハラです。それとも、あの幼女は恋人ですか?」


「いや、恋人じゃないけど」


2「けも耳は好きですか? 触りたいですか? だれでも良いのですか?」


「けも耳は好きだけど、触らせてくれるなら誰でも」


2「有罪です」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。無理やり触った事は」


1「静かにしなさい、サブロー。ナンバースリー、次の容疑を」


3「ん、嫌がる妹に、抱きつこうとする、ダメ」

1「サブロー、あなたは嫌がる妹に抱きついたり、隙があれば抱きつこうと狙っていますね」


「いや、それは違う、兄妹愛なんだ、やましい気持ちじゃないんだ」


3「ときどき、抱きつきに、寄ってくる」

「喜びを分かち合うためなんだ、信じてくれ」


3「女の人との抱擁、好き?」

「そりゃあ、まあ、嫌いじゃないけど」

3「有罪」

「そんなぁ」


1「ナンバーフォー、容疑を」

4「ベリーグの町に、切れる剣と滑らない靴があるのは本当か?」


「そ、それは……」


4「本当か?」

「……すみません、嘘でした」


4「……有罪だ」


1「ナンバーファイブ」

5「サブロー、見かけを直すつもりはないのか?」


「おいおい、オドン、もう帽子も巻いているし、見かけは悪くないだろ。どこが悪いって言うんだよ、教えろよ」


5「男が開き直るとは、見かけが悪いぞ、サブロー。それに俺はオドンじゃない、ナンバーファイブだ」

1「裁定を」

5「悪いなサブロー、有罪だ」


「有罪でもいいから、何が悪いのか教えろよ、オドン! ナンバーファイブでもいいから、教えてくれよ……」

5「男は自分で道を見つけるものだ。精進しろ、サブロー」


「……ガクッ」


1「ナンバーシックス、容疑を」

6「この忙しい時に、領主が好きにして良いと思っているっすか? 俺は怒っているっす。買付や支払や相談や納品確認や営業で俺は、すっごく、すっごく忙しいっす、どうっすか?」


「いや、俺、領主だし、好きにしていいんじゃね」


6「……ピキッ、有罪っす!」


「おい、俺、領主だよね、何が悪いの? 領主ってなに?」


1「静かに! ナンバーセブン」

7「……」


1「少しも構ってくれないから、有罪だという事ね」

「……ナンバーセブンって誰だよ?」


1「とりあえず、有罪よ」

「……」


1「最後はナンバーワンの私から聞くわ。なぜ、一人でベリーグに行こうとしたの?」


「お、俺は、つ、疲れていたんだ。毎日毎日、重機のように石と格闘して。ただ、休みたかったんだ、ひとりになりたかったんだ。そんな深い意味はないんだ。お、俺は……逃げたかったのかも知れない、ごめん、みんな、心配かけて、ごめんよ、ごめんよ」


1「では、最後の質問をするわ。あなたは妹たちを愛しているかしら? そして、部下たちを信頼しているかしら?」


「もちろん! 俺は……」


 俺が質問に答えようとしたら、世界が暗転した。俺の台詞はどうなったのだろう。


 ◇


 目が覚めると、領主館の広間の床に寝ていた。縛られてもいなく、椅子も天井からの布も見当たらない。不思議に思いながら、起き上がると入り口のドアが開き、ナビが顔を出して俺に告げた。


「サブロー、みんな待ってるよ。早くベリーグに行こうよ、あそこの海鮮焼き美味しいんだよね」


「お、おう」


 はて? あれは夢だったのか?




サブローは何と答えたのか? あれは夢だったのか?

ベリーグの町に行きます。


次回、強くなりたいんだろ?


キャラ設定集更新しました。若干のネタバレ含みます。

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