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おまけ05 ルガオルドとザンド


「おっ、おっちゃん、こっちだ、こっち」

 飯屋に入ってきたザンドを見つけたルガオルドが、手を振って自分のテーブルに呼び寄せる。


 飯屋の喧騒けんそうを縫ってザンドはルガオルドが飲み食いしているテーブルへと向かった。そして、ザンドはルガオルドの向かいの木の椅子に座る前に店員に酒と料理を注文した。


 ルガオルドが飲み食いしているテーブルの周りでは、同じような格好をした男たちがテーブルを占領して大声を上げながら酒と料理に舌鼓を打っている。また、他のテーブルでは男たちと女たちが高い笑い声を上げながら寄り添っていた。


 ここは、王国のどこにでもある町の飯屋だった。


「……首尾はどうだった? まあ、顔を見れば問題ないことはわかるけどな」


 ルガオルドは普段の声の大きさのまま、ザンドに仕事の結果を問いただした。ひそひそと話すより普段の堂々とした話し方が他の人間に興味が持たられない。それに声の大きさもさることながら、酒のさかなに注文した腸詰めを木のフォークで刺してかじりながら話をする姿からは、この王国の行く末に関わる話をしているとは誰も思わないだろう。


「ああ、問題ない」


 ザンドもルガオルドと同じく、急に声を潜めたりはしない。


「そうか、で、次はどこなんだ」

「南だ」


「……南かぁ。また、東だと思ったんだかなだなあ」

「……」

「今ごろ、あいつらは領主様の家来でバリバリやってんのかなあ。俺たちも残ればよかったんじゃねえか。あのべっぴんの姉さんとも知り合いなんだし、俺らだったらいい役につけたんじゃないか」


 ルガオルドはちびりちびりと酒の入った陶器のカップを傾けながら遠い目をした。ザンドから何の返事もないことに気がついたルガオルドは顔の前で手を振って「すまねえ」と言った。


「……」

「ちょっと酔ったみたいだ。気にしないでくれ」

「ああ、わかってる」


 ルガオルドはザンドからそう言われると照れを隠すようにカップを煽り酒を飲み干した。そして、無愛想な店員がザンドの注文した酒と料理をテーブルに置いて戻る背中に「酒を追加だ」と声を投げた。


「で、なぜ南なんだ。東で手間取っているヨーマインの状況を確認しに行くんじゃなかったのか」

「東には別の連中が行った」


「いよいよ、北の連中が南下を始めたと言うのになにやってるんだ、ヨーマイン太守は」

「……」

「西みたいにとりあえず休戦して共同で当たるぐらいしないと追い返せないだろ」

「……いや、北の大公が軍を率いているならまだしも、この状況に焦った息子たちが勝手にやっていることだ。背後に敵のいないヨーマイン太守だったら互角に渡り合える」


「だから、南に行けか」

「ああ、そうだ」


「あいつら、いったい何を考えているんだ。ヨーマインは留石とめいしのつもりであいつらを南との境に配置したんだろ」

「……」


 無愛想な店員がルガオルドの前に酒を置いていく。客の話など興味ないと言わんばかりに陶器のカップの音が鳴る。


「今じゃ、街道とベイザムを押さえたって聞いているぜ。この短期間になんて速度で進軍しているんだってな」

「……」


「まあ、南の連中がやつらに敵うとも思わないが、このあとどうするのか」

「……上はそれを知りたいのだろう」


「そうだな、あいつらの考えていることはよくわかんないからな。温泉なんてものを作るし、コメカリはうまいし、進攻軍を一網打尽にするし……」


「まったくだ」


「だが、まあ、今回は楽な仕事になりそうだな。知り合いもいるしすぐ終わるだろうさ。あいつらにこれからのことを聞きゃいいんだろ」

「……」


「サーナバラは、どうするつもりなんだってな」





ルガオルドとザンドの次の仕事の話でした。その仕事が王国編へとつながるか。


次回のおまけ、〇〇〇


構想始めました。ルガオルドとザンドに感謝

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