おまけ01 サブロー
俺の名前はサブローと言う。
訳あって家族ができた。それも妹が三人も。下の兄弟がいなかった俺はとても嬉しかったんだ。
ナビはよくわからない。神様ではないと言ったが、俺たち兄妹が魔法を使えるようにしてくれたし、ドラゴンには敬語で話しかけられていたし、ふらっといなくなったと思うと俺の世界のネタを仕入れて戻ってくるし、やはりただ者ではない。
バレンナは泣き虫で頑張り屋さんだ。そして、真面目で優しい娘だ。ヨーマインに行けば太守の奥さんに気に入られ、沿海州に行けば商家の娘に好かれる。それは、裏表がなく何事にも真摯に向き合う姿があったからだろう。
ラズリは口数は少ないが賢く気配りができ優しい娘だ。目を治しに沿海州に行ったときは治癒の代償に俺が悩んでいると自分を置いて俺を慰めてくれたり、バレンナを助けに行くときは、自分も心配なはずなのにサーナバラで留守番してくれたりと気配りしてくれるのだ。ラズリは末の妹なのだが一番長女らしい、だがたまに見せる幼い表情はとても愛らしい。
そんな三人の妹たちの兄は俺だ。
俺は彼女たちを幸せにできるのか? ナビはともかくバレンナとラズリはお嫁に行くまで笑顔でいてもらいたい。もちろんお嫁さんになってからだって笑顔でいてもらう。大事な妹を笑顔にできない男には嫁にださんし結婚も許さん。
今のふたりは笑顔で過ごしているだろうか。悲しんではいないだろうか?
サーナバラのために遠征中の今、彼女たちはどんな顔でいるのだろう。少なくとも遠征はふたりが望んだものじゃない。俺の場当たり的に作って大きくしていったサーナバラのための戦いだ。
ふたりにはいつも俺の代わりに戦ってもらっている。ごめんよ俺がふがいないばかりに、いつも迷惑をかけて。でも、待っていてくれ、俺はすぐにふたりのところに駆けつけるから。
俺はこれまでと違い積極的にやるぞ。王国建設のために、妹たちが幸せと感じる世界を作るために頑張るんだ。なぜなら、俺はふたりのお兄ちゃんなのだから。
ん、適当にやっても大丈夫だって。いや、いや、そんなことはない。俺は、俺の俺による俺のための王国を作るんだ。
えっ、そんなにハーレムが欲しいのかって。そうじゃない、俺が何者にも左右されない世界、そんな王国を作ったらバレンナだってラズリだって今回みたいな遠征にたずさわらなくてもいいんだ。俺が断るからな。
変わった? 面倒な性格に変わったなって。違うよ、俺はもともとこう言う性格なんだよ。これまでは勝手がわからず流されていたからな。これからはさっき言った通り積極的に動いていくよ。
ちょっと見直したって。
おうよ、なんたって、俺は熱い男、サブローだ。
サブローの思いのSSでした。その思い王国編へとつながるか。
次回のおまけ、バレンナ
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