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真実は嘘と本音の境界線

作者: 一々一

意味がわかると怖い話を読んで、僕も書いてみたくなりました。


自信作です!


読み手の皆さんが、嘘と本音の入り混じるこの文章をどう推理するのかが楽しみです。


文章量は決して多くはありません。


一回だけでもいいのでぜひ最後まで、一言一句余すところなく読んでいただいて、

あなたの持つ推理力を遺憾なく発揮していただきたいです。


一通のメールが届いた。

大親友の西川から来たメールは

とてもシンプルな内容で


“東山が失踪した”


とだけ書かれていた。


僕は目を疑った。

そんなことあるはずがない。


僕達は昨日、会社の同期である東山の出世祝いをしてやることになり、同じく会社仲間の西川と南沢の四人で飲み明かしていたのだ。昨晩あんなに幸せそうにしていた東山が、突然失踪したりするものか。


僕は西川に返事をする。

“眠ってるだけなんじゃないのか”


西川から直ぐに返事が返ってきた。


“俺もそう思って家のほうに電話してみたら東山の奥さんが出て、まだ夫は帰ってないって言うんだ。どうやら連絡もきてないらしい”


僕は頭を抱えた。時刻はすでに12時を回っている。あの後、東山がどこかに行くにしても家に連絡をしないのはたしかに変だ。


“もしかして東山のやつ浮気してるんじゃ”

と送った。


すぐに返事が返ってきた。


“確かに、それなら奥さんに連絡しないのも納得いくな”


どうやら西川も同じことをかんがえていたらしい。


しかし、僕が言うのもなんだが、東山の奥さんはとても美人で非の打ち所がないくらい優秀な女性だ。

僕が夫だったらまず浮気はしないだろう。


僕はメールで

“いまから西川の家に向かうよ”

とだけ送り、足早に家を出た。



西川は要領が悪いが、とにかく真っ直ぐな男だ。

上司に叱られても文句の一つも言わず、

常に努力を続けてきた。


だからこそ彼は、同期である東山の出世にだけは心の底から喜ぶことは出来なかったのだろう。僕は知っていた。


西川が東山のことを陰で恨んでいることを。


僕は西川の家の前に着いた。インターフォンを鳴らし、西川を呼び出すと彼は驚いた顔で僕のことを見る。

無理もない、滅多に運転をしない僕が車を使って全速力でやって来たのだ、この反応は当然だろう。


僕は西川の家に上がらせてもらった直後トイレを借りた。二日酔いの身体に運転は厳しく、荷物を持ったまま急いでトイレに駆け込んだ。


すると西川は、僕のことを心配してくれたのか


『大丈夫か?』


と聞いてきた。


彼の真っ直ぐな優しさにはいつも頭が上がらなくなる。僕はドア越しに頭を下げながら


『大丈夫、本当にありがとう』


と伝えた。



西川の話によると、どうやら飲み会の後、フラフラになった東山を南沢が送ったらしいのだが、酔っていたせいで記憶が曖昧らしくそれ以上のことは覚えていないらしい。


僕達は東山の浮気の可能性や、失踪の事件性について話し合った。

もし何か事件に巻き込まれているとしたら大変だ。


三十分ほど話し合うと

西川の家に一本の電話が掛かってきた。

西川の反応を見るに多分東山の奥さんだ。

五分ほど通話をして西川は電話を切った。


『ついさっき東山から奥さんのとこに連絡があって、今帰ってる、とのことだそうだ。

まったく、いったいどこに行ってやがったんだあいつ。

ちぇ、本当に事件に巻き込まれたとかだったら俺に出世のチャンスが回ってきたかも知れないのに。』


と冗談交じりに彼は言った。

僕はその言葉にとても安堵し、


『見つかってよかった』


と一言残して西川の家を去った。


家に帰ってすぐ僕のケータイにも東山から連絡が届いた。


“昨日の帰りに南沢に財布を渡したままにしちまった。代わりに受け取ってきてくれないか?”


とのことらしい。


全く人使いが荒いな、と思いながらも

僕は重い腰を持ち上げ南沢の家に足を運ぶことにした。


突然の来訪だったのだが南沢は快く承諾してくれた。二日酔いで具合の悪そうな表情をしている彼にさっき受け取ったメールを見せると、


『財布?そんなの預かったかなー』


と言いながら部屋の中を探し始めた。


僕は、はっきり言うと東山の失踪と聞いて真っ先に南沢を疑っていた。


西川の動機はあくまでも個人の妬みだ。

だが南沢は違った。


南沢は過去に会社の存続に関わる様な大きなミスをしたことがあるのだが、その原因が自分にあったことを昨晩、酔った勢いで東山が口にしたのだ。


殺す理由には充分だ。


すると突然南沢が、


『いやーあの時すごく酔ってたから全然記憶が無いんだよ。今も二日酔いで頭が痛いしもう最悪だ』


と言った。

僕は当たり障りの無い返事をした。


『南沢も昨日はすごい飲んでたもんな。僕も二日酔いのせいか足が重くってここまで来るの大変だったよ』


僕は南沢が寝る前に夜風に当たったと言っていたので庭を探していたのだが、

財布が見つかることはなく、昨日の疲労も溜まっていたので、僕はその場で腰を下ろすことにした。


すると部屋の方から、


『今度東山に謝っとくから、今日はもういいよ』


と言われたので

僕は家に帰ることにした。


気づけば夜はすっかり更けていて、僕は帰りにお酒とつまみを買い込み一人で飲み明かすことにした。


『いやーそれにしても今日は本当に疲れた。朝から本当に忙しかった。』


と、疲労のあまりついつい独り言が出てしまう。


ふとケータイを見ると、一通のメールが届いている。



東山の奥さんからだ。


メールを開くと一言


“今日はありがとう、おやすみなさい”


と書かれていた。


多分東山の件だろう。


わざわざお礼を言ってくれるなんてなんてしっかりした人なんだ。


僕はすぐさま返事を打った。











“愛してるよ、おやすみ”



読んでいただきありがとうございます。

この文章であなたはどんな推理を導き出しましたか?


推理なんてするところは無かった?そう思う方は東山が最初から死んでいると仮定して読み直してみてください。


別のストーリーが見えてくるはずです。


感想、評価、アドバイス待ってます!

関係ない雑談でも構いません笑

気になった方はぜひ声をかけてください

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