一日目「地獄の始まり」
「はぁ…暑い…」
おかしい。本当におかしい。
まだ六月だぞ…なんでこんなに暑いんだよ…
…と、天候にキレを見せている俺、彌生蓮は、家路へと急いでいた。
でもなんだこの暑さは?おかしくないか?
六月の中旬なのに何故猛暑日が続いているんだ?
…あ、あれか、太陽が近付いているとかそういうのか?
ん?違うか、地球温暖化か。
そう、この征和十七年のこの世界では、地球温暖化が異常な程に進んでいた。
そのせいで、赤道近くの国は水分が足らず乾燥死する人が増えてきていた。
「…ふぅ、ちょっと雨でも降ってくれないかなぁ…」
と、思った刹那、雲行きが怪しくなってきた。
「…おいおい本当に降ってくれんのかよ…」
ザアアァアア…
案の定降ってきた。もう最悪だ…
「だああぁ!嘘だろっ!?濡れる濡れる!」
「ちょ、とにかく雨宿りしないとっ…」
あった…いい所に神社が!
俺は急いでそこに向かった。
「はぁ、はぁ…よかった…」
「あら、あなたも雨宿り?」
不意に話しかけてきた女性は、俺にそう問いかけた。
「あっ、はい。さっきまであんなに晴れだったのに…凄いですよね。」
「そうね。でも、これが普通なんじゃないのかしら。今の世の中の天候なんかこんなもんじゃないの?まぁ、強いて言うなら天変地異?」
「そうですか…」
「あなた、名前は?」
「彌生蓮と言います。」
「彌生…彌生ねぇ。ふふっ、久しぶりに聞いたわ。その響き。」
「え、え?」
「いや、何でもないわ。」
「あ、あなたの名前は?」
「私?私の名前は木本千夏。気軽に名前で呼んでもらって構わないわ。」
「はい。」
話を聞いていると、千夏さんはここの神社が家らしい。
そんな話をしていたが、雨が止む事はなかった。
…早いとこ家に帰っとくか。
「では俺はこの辺で…」
「あら、もう行っちゃうの?」
意外な反応だった。流石の俺も驚いた。
「はい。早く家に帰らないと、怒られるので…」
「大変なのね。まぁどの家もそんな感じよね。頑張って。」
「有難うございます。では…」
そして俺は、家路へと急いで向かった。