2-1 或る日の日常。
今日も人は夢を見る。
未来の夢だ。
といっても、石でできた建物の夢ではない。
これからをどう生きるか。どう描くか。そういう夢だ。
農家だが、米を作っているだけでは生きていけるとは限らない。
草鞋を編み、籠を作り、日銭を稼ぐ。
子は作りたいが、少しの銭すら溜まる気配のない状態では…
子を作った所で、死なせてしまうだけだ。
そもそも、妻が出来たとして、このままでは食わせていく事もままならない。
妻を娶る気概も、子を育てる意気地も無いというのに… 私が子を求めるほうが間違っていると思う。
「まぁ、兄みたいに…
銭も気概も無くとも、妻も子も養う事もできるのだろうか。」
私には兄がいる。
前にもどこかに書いたかもしれないが、私は次男であり、上には兄がいる。
この時代、人が死ぬという事も珍しくないのに… 兄は大柄で、人柄も良い。
面倒見もよく、誰からも好かれるのだが…
後先を考えず、頭より手が出る。
手が出すぎて、養いきれない妻や子を作るほどだ。
だが、養いきれない。というと語弊がある。
義姉も姪も幸せだし、日々、身を粉にして働いている。
ただ、家族3人が身を粉にして働いても得られる糧が… とても少ない。
日々、喰う米や麦すら危うくなるほどだ。
私もそうだが、この集落の食糧事情はあまりよくない。
かといって、改善方法もない。
この時代、一度飢饉があれば、都の餓死者で川が埋まるほどだ。
楽だからと言って、死体処理のために死体で川を埋めないで欲しい。
川の水が腐り、子供達が川で遊べなくなる。
魚が取れなくなり、タダでさえ良くない食糧事情が悪くなる。
去年は不作だったが、まだそれでも…
「飢饉よりはまだ、マシだ。」と、そう思える状況ではあった。
話は変わるが…
隣の集落に住む、まつという娘がいる。
隣と言っても、一軒一軒が遠く、鳥の夢に出てきたように手を伸ばせば届く。というような所には無い。
もう、遠の昔、私の家から明けぬうちに歩き始めて、辺りが明るくなり、お腹が空き始めた頃に漸く着く。
という、その寺子屋に通わせていただいた時に知り合った娘だ。
器量も良く。気立ても良く。人柄が良かった。
籾を隠して、せこせこと生きている私よりは… 何倍も好かれる性格をしていた。
比べるのも烏滸がましいほどだ。
まぁ、私がまつを好きではあったのだろう。
普通に話せる娘の中でも、まつを前にすると言葉を発する事すら難しかったのだから。
好きだと確信するには、遅すぎたと実感している。
気付いた頃には、互いに寺子屋を出て、田畑を作る日々へと変わっていった。
逢う事すらなくなっていた。
私には、恋愛より食い気である。そうしないと死んでしまう。そう確信しまっている。
日々、死に近く、ここが現実という感覚が乏しい。
今の状況が、鳥が見るの夢であればいいのに。
夢から覚めてしまえば、私は子と暮らす日々に戻れるのだろうか…
考えても答えは出ない。働かないわけにもいかない。
とりあえず、畑を耕さねば… 家にある籾も無くなりかねない。
節約して、あと5ヶ月分はあると見ているが…
雪が融け、夏に入る今、5ヶ月分では足りないかもしれない。
畑仕事だけではなく、いろいろ頑張らないとな!!
あれ… もう3時じゃね?(;´Д`)
長くかかりすぎーーーーーっ!
ホントあかんっ!
あ、そそそー。季節が出ました。
1~3月春。4~6月夏。7~9月秋。10~12月冬で行きたいと思いますー( 艸`*)
実家の辺りの麦の収穫が6月上旬のため、7月下旬に。
米も9月下旬のため、10月下旬にさせていただきますー