1-4 生きる糧。
人は糧を得る。
生きるために。
この集落には人が100名程度…
小さいとはいえ、20世帯も住む集落。
殆どが農民で、日が昇り、日が沈むまで畑や田を耕す。
耕す畑や田がなければ、草を毟る。その草も無ければ、畑仕事は終わりだ。
畑仕事が終わったからといって、仕事は終わる事は無い。
縄を編み、草鞋を作る。
木を切り、鍬を作る。
竹を切り、籤をつくり、籠を作る。
木で作った鍬ではすぐに壊れるが、夢で見た金属の鍬などは…
私の知る限り見たことはない。なにしろ、作り方もわからない。
使いやすそうではあったが… 木製で作るので精一杯だ。
夢で見た人たちは、草鞋ではない履物を履く。
温かそうで、履きやすそうな、草鞋より頑丈そうな履物を履いている。
とても羨ましい事だ。
寒い時期にも、草鞋だと足が凍える。
風が吹けば、足は冷たく…
雨を含めば、体温を奪い…
雪の中を歩けば、凍傷にもなる…
まぁ、草鞋を履く以外の選択肢が無いのだが。
夢で見た人は、竹ではない籠を持つ。
どうやって作ったかも想像し得ない籠だ。
背負い籠の様な物はあるが、夢の中では竹で編んだものとはまったく違う。
腕や肩にかける籠も美しいものだ。
獣の皮をなめして作るか、竹で作るか事でしか想像できないが…
使いやすそうではある。
が、無いものは仕方ない。
羨ましい限りだ。
まぁ、考えても仕方が無い。
稲や芋を作り、草鞋や籠を作り、日々の糧や銭を得ないと生きてはいけない。
年貢を納めねば米を作れない。
そもそも、庄屋様から借りている土地だ。年貢を収めねば田畑は使えない。
収め過ぎれば、人は生きていけない量の籾を毟り取られてしまう。
来年からは作ることさえままならない。
今を生きるために… 来る年のために…
誰かに見つかる前に籾を床下へと隠しておく。
必要なのは、籾だけではない。
銭もそうだ。村の生活は物々交換で何とかなるが…
物々交換ではどうにもならない時もある。
町に必要なものがあった場合だ。
木や藁を使い、物を作っていても、釜など鉄を使った物は作ることが出来ない。
薬も銭がないと手に入らない。まぁ、銭があっても高すぎて手に入らないが…
そのために、やはり銭は必要だと思う。
その銭も籾や米を売っていては大した銭にならない。
ほとんど年貢で取られて、私独り生きていく分しか残らないが…
足りないからといって、米を買う時は高いのはなぜだ。
町で米を買うことは絶対にない。
そうこう考えているうちに、もう夕暮れ。
夜になっては、何も見えないので・・・
出来る事は、明日することにしよう。
今日も夢を見ることできると良いのだが。
ホント、こんなの見てくれる人なんて出てくるのかね(´・ω・`)
不安過ぎて、寝られそうにないっZzz…[布団]黒σω-`o)。o○