第3話
お前達には来週アップすると言っていたな・・・。
あれは嘘だ。
いま作者は長期休暇真っ最中で、その上日間ランキングに乗っちまったので焦って書いて上げました。
執筆者とは見てもらうと頑張りたくなるものです。
視界が澄み渡り、最初に見えた景色は、噴水を中心にした広場だった。
「話には聞いていたが、これほどとは・・・」
風が運ぶ花壇の土の香りに、降り注ぐ日光の温もり。更には噴水から溢れ出す、水滴の一つ一つまでがリアルに再現されている。
踏み出せば堅い感触を返してくれる荒い石畳の道も、現実で味わったことは無いが、本当にこんな感じなのだろう。視界の左上に名前とHPとMPのバーがなければ、異世界に来たとでも勘違いしているはずだ。
暫くその光景に見とれていると、自分の名前が点滅しだした。
「どうすればいいんだ?」
町中なのだからバッドステータスを掛けられたわけじゃないだろう。そしてすぐ、キャラの名前を付けるときに架空のキーボードを叩いたのを思い出して、指先で触ってみると、名前のところから黒いウィンドウが開き、メニューを見ることが出来た。ラグもなく、すぐ開くから便利なのだが、視界が完璧に閉ざされるので、フィールドだと気を付けないとな。
そんなことは端に置いといて、今回用があるのは、開いたメニューの中でもメールの機能だった。先ほどの名前と同じようにピコピコしている。
そこをまたまた先ほどのごとく押すと『斎我』と件名にあった。
「・・・」
何となく嫌な予感を感じながらメールを読む。
『やっほー!無事にログイン出来たかね若人よ!あたしは初穂ちゃんと先にフィールド一歩手前の門にいるから、早くしないと置いてくよ!
なんでメールが送れてるかだって?それは君が坊やだからさ』
ブチンとプレイ開始早々音がした。
/////////
「やっと来たか!わこうどはァッ!」
「何勝手にメールアドレス登録してんだこのアホゥ!あと誰が坊やだ何時もお前の尻拭いしてるのは誰だと思ってやがる!!」
「待ってくれ!だからって遭遇と同時にコークスクリュー・ブローを打ち込むのはやめて!ダメージ無いけど怖いんだよ!?」
「知るかバカが!するにも一言言ってから登録しておけ!」
「うきゅー!首がぁー!ボソッ(しあわせー!)」
斎我は髪の色は金髪で目は紫色のキャラになっていて、何時もより印象も違っていたが、イラつく表情までは変えられないので迷わず攻撃できた。
僕は一撃腹に見舞うと裸締めに移行し、奴の首を締め付ける。町中なので息の根を止めることはできないが、こうでもしないと気が済まない。
そんな鬼の仮面を被っていると言われても信じられそうな顔の男と、菩薩のごとく微笑を浮かべて恍惚としている女のもとに近づく影が1人。
「お兄ちゃん、ここ公共の場所だから。ね?」
髪も目も碧になっているが、俺には一瞬で初穂だと理解できた。
流石に妹に止められては刑を続行するのも躊躇われる。
「そうだな。おい。はつ---いやなんて名前にしたんだ?」
「え?ヒナだよ」
「そうか---ヒナに感謝しろ」
「うん。ありがとヒナちゃん」
斎我は何故か残念そうなにしながら立ち上がる。なんだ。もっと早く来いとでもいいたいのだろうか。2人は顔では笑ったまま鋭い視線で向き合っている。
(初穂ちゃん?暮刃を止めたのって恥ずかしいからじゃないよね?)
(さあ?なんのことでしょう)
なんでだろう?寒気がした。このゲームは温度まで再現してるんだろうか?
まあ何はともあれ、3人が集まった。仕切り直して自己紹介をしようということになった。
先ずは初穂が言い始める。
「えーっと。私はこのゲームだと『ヒナ』でプレイしています。メインは生産職だから、なにか面白い素材があったら宜しくね」
次に斎我が続く。
「あたしは『サイカ』でやってるよ!戦闘職で前衛だけど、いつもはβテストの時の仲間とやってるから、あんまり手伝いはできないかもね!」
それじゃあ最後は俺か、早くフィールド行きたいし 、短くいこう。
「俺は『ライト』だな。一応戦闘職だが、ソロでやっていこうと思ってるから。大概の時は手伝いもできるぞ」
そこで斎我が目を光らせた。
「してライトや。ビルド構成はどうなってるんだい?」
「言わなきゃならんのか?」
「一応テスターだから戦い方の指南ぐらいは出来るよ。このゲームチュートリアルないから聞いときなって」
「そうか・・・」
教えるのがサイカなのが激しく不安だが、一応こいつはトッププレイヤーだ。聞くだけなら損はなかろう。
「分かった。先ずは---」
俺は全てのビルドを2人に余すことなく伝えた。それでも5つしかないが。
そして、2人の表情は最初は微妙な感じだったのだが、段々変な方向に変化し、最後には可愛そうな子を見る目で見られた。
「え、なんだ?」
流石にヒナにまでそんな風に見られると不安感半端ない。
恐る恐る聞いてみると、2人は神妙な顔して頷いた。
「お兄ちゃん、それは・・・」
「余すとこなく外れビルド」
その直後、少女らは、FBOは漫画みたいなリアクションも表現出来るのかと感心した。
文章の構成とかどうでしょうか?評価という形で教えてくれると嬉しいです。