第2話
これで打ち止め。あとは来週アップします。良ければ残り2作品でも読んでいただけたら嬉しいです。
『始めまして!Free・Build・Onlineを購入頂き、ありがとうございます!まずはキャラを作成しましょう!』
感情の感じ取れない女性の声に目を開くと、無機質で真っ白な部屋に立っていた。目の前には大きな鏡がある。
しかしそこに写ってるのは---
「いやしかし、本当俺のままだな」
黒子の位置に目の色、髪型。全てそのまま僕が写っていた。
ログインする前に斎我に聞いていたのだが、一応このゲームはキャラをいじることはできる。が、その大元。つまり、骨格や人相、体形を変えることはできない。だからプレイヤー達は、髪型や肌、目の色を弄ってキャラを作っている。
これによりネカマが出来ないと嘆く人もいるようだが、俺はどうでもいい人だ。
「とりあえず弄れるところは弄るか」
俺はウィンドウを操作し、短く切っていた髪を腰まで伸ばして白く染め。目は右を赤、左を青のオッドアイにして次に進む。
『次に貴方の『ビルド』を設定してください!』
ビルドはゲームのタイトルに入っている通り、この世界で最も重要なものだ。所謂他のゲームで言うところの、スキルや魔法といった物だろう。プレイヤーはビルドを使いモンスターと切り結ぶのだ。
そしてこのゲームはスキル制というよりビルド制のゲームらしく。レベルアップでステータス上昇などないらしい。
なので尚更、これの構成も重要であるが、俺は外れのビルドなんぞ聞いてはいない。別にこだわらないし。
だから自分の好きに選ばせてもらおう。
とりあえず武器は必要だろうが・・・なんか物騒なものばっかだな?大剣とか重たそうだし・・・。あ、これ軽そう。んじゃこれで。
お、非常に興味深い物もあるな。これも入れよ。
あと回復薬作れた方がいいよな。それに材料も判断できるようにしないとな・・・。よし、丁度見つかったな。じゃあ有効化っと。
あ、魔法が入ってねぇや。せっかくなんだし一つ入れるか---てコスト高っ!なんで全部2つ分もビルド枠取るわけ?・・・あ、一つだけコスト1だ。じゃあこれにしよう。
ある程度ビルドを決めたら、何度か読み直して間違いがないか確認する。そして次に進む。
『これで最後です!貴方の名前を教えてください!』
む、そういやそこらがまだだったな。どうしよう。そのままクレハじゃ駄目だよな?
暮刃・・・暮・・・夕暮れってこれじゃなんか違うな。夕暮れで最初に思い付く言葉っていうと、黄昏か?
そこまで思考を固めて、自分の白く染めた髪をじーっと見つめる。
「よし、これでいい」
僕は慣れない手つきで架空のキーボードに入力し、エンターキーを押した。
『歓迎します!新たな世界の住人よ!Free・Build・Onlineの世界へようこそ!』
そして世界がまた違う色に染まっていった。
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Name:ライト
《装備》
武器:ひのきの棒
頭:なし
胴:初心者の服(上)
右腕:なし
左腕:なし
腰:初心者の服(下)
脚:初心者の靴
《ビルド》
《棒術Lv.1》
《液体操作Lv.1》
《テイムLv.1》
《識別Lv.1》
《合成Lv.1》