第15話
さて、どうしようか。
クエストは受けられた。百歩譲ってこれは良いことにしよう。だが内容がなぁ・・・。
「シリアちゃんは普段何してるの?」
「んー。いつもお父さんのご飯運んだりお母さんのお手伝いしてるよー」
早速ヒナはシリアとワイワイ話している。仲がよさそうで何よりだ。護衛対象との相性も大事な項目だしな。いざというとき言うこと聞いてくれないと困るし。
シリアの相手はヒナに任せたのか、サイカがそっとこちらにやって来た。
「ライト」
「ああ。まずは作戦考えないとな」
ヒナはゲームをしないわけではないが、育成だとか放牧だとかのほのぼの系のゲーマーだ。今回の作戦を考えるのは俺らじゃないと無理だろう。
「まずは陣形からなんだろうが・・・敵出るのか?」
「そのことなんだけど・・・これまでモンスターが出てこなかったのってこのクエストがあったからじゃないのかい?」
「たかが一つのクエストのためにそこまでなるのか?」
「よく考えてみて。『最近はモンスターも全然見つかってないし』ってシリアちゃんも言ってただろう?となれば、最近の異常事態の原因もこのクエストにあると考える方が自然じゃないかい?」
「となると、出るとすればモンスターの群れか新種のボスか。どうにせよ碌な奴が出ないだろうな」
何も出ないなんて甘い考えは通ることは無いだろう。よくも悪くもゲームとはお約束に忠実だ。
「サイカは前衛だよな」
「アイテムを使えば、他も出来なくもないけどビルドは完全剣士仕様だね」
「なら俺はみんなの後ろにつく。やりようによっては遠距離も対応できるしな。サイカは前に出て索敵に専念してくれ」
「了解だ」
サイカはパーティーより一歩先に踏み出し、俺は話をしている二人の後ろにつく。それに気づいたのか2人も話を止めて表情を引き締める。
「それじゃあ、森に案内します。結構入り組んでるのではぐれないように気をつけてくださいね」
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「そろそろつきますよー」
「分かった。案内ありがとうシリアちゃん」
「えへへー。どういたしまして」
1時間ほど歩いてようやく目的地についた。にしても本当に案内がいてよかった。迷宮なんてもんじゃないぞここ。よそ者だけだと遭難するわ。
まあそんな道だが、ここまで長い道のりで1匹もモンスターはみていない。
「あとは帰りだな」
「行きはよいよい帰りは怖いってことかな?」
「上手いこと言うな」
か弱い女子2人を心配させないように俺らがふざけている間に、シリアがリンゴのようなレモンのようななんとも言えない形状の木の実を回収する。
「なあ。それってなんて言うんだ」
「ん?これはアポンって言うんだよ」
アップルとレモンを合わせたのか?流石運営。よく分からない奇抜なセンスだ。
ものの記念に俺たちプレイヤー3人は10個ほどアポンの実を回収してインベントリに収めると、再び陣形を組んだ。
「よし。それじゃいく---」
そして俺が出発の音頭をとろうとしたとき、それは木々をへし折ってパーティーの前に躍り出た。
その筋肉の盛り上がった巨体は真っ黒な毛皮に覆われ、木を呆気なく破壊した足には重圧な光を放つ蹄。それはまさしくクエストのボスを名乗るにふさわしい黒馬だった。
「か・・・カ●ケード!?」
「いやアレは黒●号だろ」
そんな寝ぼけた会話をするもつかの間、黒馬は俺らに向かって突進を始めた。
遅れてすんません




