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Free・Build・Online  作者: アースウェル
「やはりゲームとは上手くできている」
15/19

第14話

すいません。予約投稿失敗してました・・・。

「お父さーん。お昼持って来たよー」


「ありがとよ。ほらお前さんたちもこっちに来い」


 親方がこちらに向かって手招きする。弟子たちはすでに地面に腰を下ろして待機済みだ。

 俺たちは親方の隣に座り、小学4、5年生くらいの娘さんにむかって挨拶した。


「こんにちは。旅人のライトだ。今日はごちそうになる」


「ヒナです。よろしくね」


「サイカだよ!お姉ちゃんって呼ぶがいいよ!」


 ヒナもサイカもすっかり機嫌はなおったらしく、いつも通りの調子で声をかける。


「はじめまして旅人さん。私はシリアっていいます」


 俺たちは少し目を見張った。だが、その程度は違うようだ。

 俺はそうでもないが、β組の2人はかなり驚いている。


「どうしたんだ?」


「ライト。ちょっと耳を貸して」


 俺は人の輪から引っ張り出された。そして言い聞かせるようにゆっくりと話しかけられる。


「ライト。さっきあの子名前を言ってたよね?」


「ああ。言ってたな。それが?」


「お兄ちゃんは親方さんの名前知ってる?」


 それは、全く持って知らないが・・・。


「それが普通じゃないのか?」


「ライト。ただのPCゲームのように初めから行動が制限されているようならそうだけど、このゲームに制限らしいそれはない。そんな世界で、ある程度仲良くなった間柄の人間同士が名前を知らないなんておかしいと思わないかい?」


「そう言われれば確かに」


 例えばアパートの隣人の家族構成を知らないようなものだ。そこまで親しくなくても少しくらいは知る機会があるのが当たり前だ。それなのに知らないというのは最初から名前が設定されていないのだろう。

 だが今回に限ってあっさりと分かったということは、それに意味があるということだ。


「分かった?」


「ああ。あの子が次のクエストのキーマンなんだな」


「正解。これからの会話に注意してね。それがクエストのヒントになるからね」


 3人でうなずきあってから輪の中に戻った。


「すまない。待たせたな」


「いいってことよ。それじゃ食べようぜ」


 みんなで手のひらを合わせてから、籠の中身に手を伸ばす。中にはサンドイッチが大量に入っていた。

 大工組は両手にパンを取り大口で頬張り、ヒナたち女性陣は小さく啄む。

 俺も男性陣に習ってサンドイッチに食らいつく。

 具のビーフは厚く、葉野菜はシャキシャキと鮮度が高いのがすぐにわかるような食感だ。パンは少々固いが、噛みごたえがあると思えば問題はない。

 なによりポイントはソースだ。焼き肉のたれのような醤油風味の物ではなく、ほんの少しの酸味を持った果実ベースのあっさりとした風味が食欲を誘う。


「どうだ?上手いか?」


「ああ。特にこのソースがいいな。木の実が元なのか?」


 その質問にシリアが胸を張って答える。


「そうですよ。森でとれる木の実で作るんです。我が家秘伝のソースなんですよ---とそういえばお父さん」


 少女が急に親方に振り替える。


「なんだ?」


「もうすぐ木の実が切れちゃいそうなの」


「ほんとか?今は男衆の手は空いていないし。暫くどうしようもないぞ」


 親方が頭を捻ってうなると同時にウィンドウが現れた。


「お兄ちゃん!」


「ライト!」


「ああ!」


 相変わらず全然情報が表示されていないが、今回も話の流れから何をすればいいのかだいたい予想は出来る。

 Yesを選んで話に混ざる。


「なあ。それなら俺たちがとってくるぞ。お昼のお返しにな」


 2人は『いい切りだし方だ』と言わんばかりに頷いている。が、それに反して親方の反応は悪い。


「いや、その気遣いは嬉しいが、よそ者だけでその場所に行かせるわけにはいかない。やはり村の仕事に余裕ができるまで待つしかないだろう」


「そうか・・・」


 てっきりクエストは木の実を取ってくることだと思っていたが、確かにその類のルールがあるならクエストの内容はそれじゃないのだろう。いきなり躓いたか---と思った瞬間。そこで、もう1つの予想が立つ。

 確かにこの方法なら行けるが、この少人数だとかなりハードだ。


 そんな内心が通じてかシリアが親方に話しかける。


「ねえお父さん。私がついて行ったらダメかな」


「なに?」


「旅人さんたちだけじゃだめなら、私が居たら問題ないよね?最近はモンスターも全然見つかってないし、それにいても旅人さんが退治してくれるでしょう?」


 間違いない。今回のクエストは『護衛ミッション』だ。

 RPG、FPSなどジャンルに関わらずその難易度は高く、面倒なことも定番であり。ほとんどのゲーマーが嫌がるクエストの代表格だ。俺もサイカも何度も何度も何度も苦労したこともあり、俺たちの顔は珍しく一致しているはずだ。

 だが、Yesを選んだ手前、クエストを放置するわけにもいかず話は進む。


「それなら大丈夫か。坊主、頼めるか?」


「ああ。任せておけ」


 心の底からやりたく無いと思いながらも、俺の口は勝手に動いていた。

 



大会とかあったりしちゃうので、もしかすればまた理由は違えど投稿が遅れるかもしれません。

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