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Free・Build・Online  作者: アースウェル
「やはりゲームとは上手くできている」
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プロローグ

思い付きでやるのでストーリー性などありません。1章ずつで完成するようにしたいと思います。

今日は3つはあげますが読み足りないとかあったら。他の作品もよろしくお願いいただけたら幸いです。

 蝉が現れミンミンうるさい夏真っ盛り。今日で高1の一学期は終わり、明日から待ち遠しかった夏休みだ。


 そんなめでたい日。この俺、桜葉暮刃(さくらばくれは)はある家の前で、長期休校のせいでいつもよりパンパンな鞄を握りしめて立っている。そして、目の前には1つの人影が。


「来たか親友!」


「来たぞ悪友」


 俺の親友(自称)であり、幼いころからの腐れ縁である同級生の桐嶋斎我きりしまさいがが無い胸を張ってふんぞり返っていた。

 色気も何もない男前な名前だが、本人は女である。それも黙っていればクール系の黒髪美少女。


 そんな彼女は俺の態度など知ったこっちゃないと言わんばかりに、近所迷惑も考慮せずに大声で続ける。

 

「相変わらず冷たいな!それでもここに来ることはあたしの思い通りだったね!」


「ふざけんな仕掛け人。初穂(はつほ)に家の鍵閉めさせたのお前だろ」


 あっついコンクリートと日差しの洗礼を耐えきり、冷房と扇風機の待っている我が家(エデン)に入ろうとした瞬間。固い手応えの悲しいこと悲しいこと。

 そしてそのタイミングを計ったように送られてきた可愛い中1の妹からのメール。

 送ってきたのは妹だが、その犯人は内容から明らかだ。


「その様子だとしっかりメールは読んで来たようだね!話が早くて助かるよ!」


「知るか。てか『荷物を取りに来い』とか、こんなことしなくて良かったろ?自分で持ってこいよ」


「やだよ重たいもん」


「・・・そうだったな。お前はそういうやつだった」


 昔から苦労してきたのは俺だけだった。いつかは成長して俺が尻拭いしなくて良いくらいにはなって欲しいが、無理だろうな・・・。


 そんな黄昏ている俺をこれまた無視して、自分の部屋に入っていく斎我。しばらく待っても出てこないので、勝手に部屋の中に入ると、どや顔で立っていたのでデコピンした。


「痛い!暮刃の愛が痛いっ!」


「ふざけたこと言ってないで早く荷物寄越せ」


「ぶー。分かったよ。はいこれ」


「あいよ・・・ん?これって」


 斎我が俺の腕に置いたのは、あるゲームのパッケージが印刷されているダンボールだった。

 中身を見るとフルフェイスのヘルメットのような機械が---。


「ってこれ『ヘッドギア』じゃねぇか!」


 『ヘッドギア』。それはこの夏、史上初めて世に踏み出す。全く新しいジャンルのゲームのコントローラーだ。


 そのジャンルとはVRMMO。従来のテレビと顔を合わせてひたすらコマンドを打ち続けるスタイルを完全に破棄し、ほとんど現実と変わらないヴァーチャルの世界で、己の足で世界を歩き、己の腕で武器を振るい、楽しむ体験型ゲームだ。

 その人気というより世間の期待値は、市場では予約が殺到し、発売が明日になる店舗では行列が既に出来上がってるほどのものだ。


「ソフトはもうダウンロードしてるから、あとはキャラを作るだけで遊べるよ」


「ソフトって『FBO』か」


「そ。あたしったらβテストで優秀だったから、あたし用とは別に運営からもう1セット貰えたんだ」


 『Free・Build・Online』。略して『FBO』。これはVRMMOのソフト名だ。以前βテストと言う名の体験版を、無数の申し込みの中から、1000人程の当選者を選び実施していた。

 とんでもない倍率なので、ゲームは好きだがどうせ自分は当たらないだろうと俺は応募しなかったが、まさかこんな近くに当選者。しかもトッププレイヤーがいたとは。


 だがこれは、半端ない需要があるため、うん十万ほど値段がする。これを素直に受け取っては、なんかいけない気がして顔をしかめる。


 うん。ここは断ろう。親しき仲にも礼儀有りだ。俺だって欲しいがあんまり貸しを作りたくない。


「悪い。やっぱりこれは受け取れ---」


「そうそう初穂ちゃんもβテスターでね!『お兄ちゃんとやりたいな』って言ってたよ」


「・・・・・・」


 俺の口が石のように固まり、きっちり5秒。


「で、欲しい?」


「ありがたく使わせていただきます」


 俺はプライドを捨てた。



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