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夜の校舎で

作者: 恋する?高校生@鳥取

ホラー小説を初めて書きました。

多くの方に見てもらえたら嬉しいです。

「本当かよ」

「え?マジかよ・・・」

昼下がり教室。仲良しな3人が話していた。

「そうだよ、中国地方のある集落に約20年前に廃校になった中学校校舎があるみたいだって。しかもそこでは昔にある事件があったとか。」

武が話す途中で伸行が少し青ざめた感じで

「おい、待てよ!もしかしてそこに・・・」

「当たり前だろ。俺らホラー好きだろ。もう忘れたのか?」

「忘れてねーよ。1年前にクラスの男子である廃ホテルに行って最後まで我慢できた俺らで結成したからな。このホラー好きとか言う奇妙なグループ」

「だからこのホラーが大好きな俺らでそこに行ってみようぜ」

「嘘だろ?俺嫌だよ絶対。そこ多分危険な匂いがするよ」

「何だよ拓也。お前ビビってるのか??」

「そんなことないよ。それより武は大丈夫なのか??」

「当たり前だろ。俺はそんな噂信じないよ」

「本当かよ」

このグループではホラーに1番自信のある武がリーダー。まあまあな反応の伸行。少しビビリな拓也。

この3人のグループは校内で有名になっていた。

「とにかく今度の日曜日。お前ら学校に集合な」

リーダーの武の声で2人は仕方なく

「分かったよ」の裏では

(俺たち行きたくないよ。武1人で行って来いよ)と言いたかったがとてもそんなことは言えなかった。




「あいつら遅いな」

当日、約束の時間になっても来ない2人に苛立ちを隠せない武。

約束の時間から10分後。

「遅くなってごめん」

拓哉と伸行が一緒に来た。

「遅いよお前ら、何していたんだよ」

「ごめんごめん。今まで準備してて・・・。それよりまだ明るいけどもう行くの??」

「ああ、そこに行くにはここから1時間以上かかるかな」

「でもどうやって行くの??」

「俺の知り合いがタクシーの運転手をしている。」

「え?でも俺らお金ないよ」

「安心しろ。タクシーを運転するのは俺の親戚だ。特別に無料で乗せてくれるらしい。さあお前ら乗れ」

武が促してくるので渋々乗る拓也たち。


「え~ではどちらまで行きます??」

運転手からの問いに伸行は

「あれ?行き先伝えてないの?」

「悪いな、忘れてたよ、お前ちょっと言ってくれないか?」

「運転手さん。〇〇市の△△中学校までお願いします」

「え?あそこは廃校になったけど。そこに行くの?」

当然のように運転手は聞き返す。

「はい。お願いします」

「あそこはねえ、20年前に廃校になってねえ、まあ生徒の人数が減ったのが原因だけどその他にも『あの事件』が起きてしまったから・・・」

突然話し出す運転手に危機感を感じた拓哉は

「すいません。聞きたくないです」

そこから現地に着くまで会話は1つも無かった。



「はい。着きましたよ、では気をつけてね」

3人を降ろしたタクシーはそのまま夜の闇へ消えていった。

あたりは既に真っ暗。

「本当に行くのかよ」

「今さらビビってんじゃねえよ。」

「ビビってないよ。それよりここ入れるの?」

「どこか探せばあるよ。付いてこい」

武のあとをついていく拓哉と伸行。

すると体育館らしきところに続く校舎の渡り廊下が少し開いていた。

「ここから入ろう」

おそるおそる入ろうとする。しかし武は

「よし、伸行。お前から入れ。」

突然伸行を指名。当然伸行は

「何でだよ。武から行けよ。リーダーだろ」

「こんな時だけリーダーにするなよ、よし拓也お前行け」

「絶対に嫌だ」

「ああしょうがない俺から行くよ。お前ら情けないな」

結局リーダの武、拓也、伸行の順番で行くことにした。


静まり返る校舎、いかにも何か出そうな雰囲気が漂っている。

「怖いな~」

拓也が呟く。

「おい、いちいち怖いとか言うなよ。余計怖く感じるよ」

伸行が言う。

「大丈夫かお前ら?」

意外と優しい一面を見せる武。

しかしそれも束の間、2階に上がろうと階段を登ろうとしたその瞬間。

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ」

いきなり叫ぶリーダーの武。

つられたように後を続いていた2人も

「わあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」

と叫ぶ。

3人の絶叫が廃校舎に響き渡る。

「おい、脅かすなよ。どうした武??」

「今・・・何か踏んだ。人の感覚がした。」

「え?マジで・・・」

途端に血の気が引く一同。

「か、確認してみなよ」

おそるおそる足元を見る武。すると、

「なんだよ、雑巾だったよ、あはは」

ホッとしたような反応をする武だが

「あははじゃねえよ。脅かすなよ。マジでびびったよ」

伸行が言うと

「ごめんごめん、さあ次、2階に行くぞ」

再び歩き出す3人。

2階の廊下に着き端の教室から1つづつ入って行く。

「おじゃまします・・・」

「入りまーす」

「何も出ないでくださ・・・い」

3人が教室入った瞬間。

突然扉が閉まった。


ガラガラ・・・ピシャン。。。

青ざめた様子になる3人。

「え?」

「俺たち、閉められた???」

「もう2度とここから・・・」

途端に表情が変わる3人は

「おい。何が何でも開けるぞ、おい伸行はそこを持て。隆史はそこを」

パニックになっているのか、拓哉を隆史と言い間違える武。

「持ったか?じゃあせーので開けるぞ。せーの」

しかし扉はびくともしない。

「どうしよう。開かないよ。」

「頑張れ。もう少し頑張れ」

しかしどうあがいても開けることはできない。

教室の上の窓越しに見える小さな非情口のライトが点いたり消えたりを繰り返している。そしてとうとうそのライトも消えて閉まった。

3人は持っていたスマホでライトをつけようとするがなぜがライトがつかない。

「クソ!なぜ付かない」

「やっぱりおかしいよ。早く帰ろ」

「バカ!どうやって帰るんだ。ドアも開かないのに」

もう既に3人は自分の理性を失いパニックの状態になっていた。

もう1度開けようとドアに手を触れた瞬間拓哉が何かの視線を感じふと上を見た。するとそこには血だらけの顔の男が首だけをこちらにのぞかせながらじっと3人を見つめていた。

「何を・・している」


3人は声にならない悲鳴を上げる。その瞬間教室のドアが開き3人は一目散に廊下に逃げ出す。だがその血だらけの男もついてくる。必死で逃げる3人に追いつきそうなくらい速い。

自分たちが入った入口を見つけたがなぜかドアが開かない。

「おい、早く早く。来ちゃうよ。」

「わかってるよ、でもぜ、全然開かないよ」

「はあ?またかよ」

ドアを武が必死で開けようとしているが全然無理だ。

その時、3人の背後から足音が近づいてくる。

「やばいやばい来たよ」

トン トン トン トン トン トン トン トン トン

どんどん大きくなる足音。しかしドアは開かない。

ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン

だんだん大きく、そしてはっきり聞こえてくる魔の足音。

「早く、開けてよ」

「うるさいな!今やってるよ」

ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン ドン 

さらに大きくなる足音に絶体絶命の3人。

しかし3人の直前で足音は止み、何も聞こえなくなった。そして

足音が向こうに行く感じがした。

ドン ドン ドン ドン ドン・・・トン トン トン トン トン トン

どんどん小さくなっていく足音

「向こうに行った?」

安堵の声が漏れる3人だがまだドアは開かない。

「もう嫌だ、早く逃げようぜ。まだ開かないの??」

「ああ、まだだ」

「早くしてよ。怖いよ」

「うるさいな、文句言うならお前らも手伝えよ」

3人で開けようとするが相変わらずびくともしない。

すると再び拓哉が何かの視線を感じ後ろを振り返る。

釣られたように伸行と武も振り返る。

しかし当然なのかそこには誰もいない。

「何だよ、誰もいないじゃん」

そしてもう1度ドアの方を振り返る。

その瞬間3人は今日1番の悲鳴をあげた。

そこにはさっきみた血だらけの男の他、顔が無い沢山の子供が3人を見つめていた。

「早く出て行け、早く出て行け、早く出て行け・・・」

小さな声が少し少し大きくなり、

「でていけええええええええええええええ」


「うわああああああああああああああああああああああ」

3人はドアに手をかけるとドアは普通に開き後ろを振り返ることなくその校舎からひらすら走って逃げた。


どれくらい走っただろうか。気がついたら3人は郊外まで来ていた。コンビニの明かりが見えた時、3人はどれくらい幸せだっただろうか。

「俺たち、助かったのか??」

「ああ、もうここまでくれば安心だ」

「でもどうやって帰ろうか?」

武がもう1度親戚に電話をする。するとタクシーは数分で3人の元に到着した。

「すいません。学校までお願いします。」

運転手は行きの人とは違っていたが

「大丈夫だよ。話は聞いているから。無料でいいよ」

「ありがとうございます」

「いいよいいよ。それよりこんな時間にどこに言ってたの?」

「実は△△中学校に言ってました。肝試し的な感じで」

その瞬間青ざめた顔をした運転手。

「あそこに行ってきたの?」

「はいそれが何か??」

「あそこは超危険なのに」

「あの~一体あそこの中学校で何があったのですか?」

「それは・・・話せない。なぜなら『あの事件』が・・・」

「分かりました。もういいです。もういいです」

恐ろしくなった拓哉は話を切り上げた。


結局なぜあの中学校が『出る』と言われるようになったのかそして『あの事件』とは何だったのか? それは3人には分からず終いだったがもう3人は

「2度と肝試しには行かない。」

と、そう心に誓った。


(完)

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