可愛いあの子が窓からいつも覗き込んでくれる景色
Twitterでお題をもらって書いたものです。
【可愛いあの子が窓からいつも覗き込んでくれる景色】
「見てよ、また来てる」
「ホントだ。どうしたんだろうね」
「私たちが好きなのかな?」
「懐いてるってことー?」
「そうそう」
「だとしたらかわいいじゃんっ!」
「愛嬌ある顔してるしねー」
「うんうんっ」
楽しそうな女の子たちの会話。
小さな窓から覗くその子は、彼女らから不思議がられていた。
「ご飯とかどうしてるのかなー」
「たぶん、ここにいないときに食べてるんじゃない?」
「えー、何食べてるのかな」
「それはわかんないけど……」
「でもどんどん大きくなってるね」
「おなかを空かせてないなら大丈夫でしょ。さ、そろそろ休憩しましょ」
「はーい」
その小窓から女の子たちが離れると、その子も窓の前から姿を消す。
彼女ら曰くとても愛くるしい姿のその子は、一躍事務所でも人気者となった。
「あ、ほら! 来たよ!」
「わぁ、ほんとだーかわいいーっ!」
「ね? 言ったとおりでしょ。お仕事が始まると顔を見せるの」
「へー、お仕事の開始の時間が分かってるのかな?」
「どうだろうね? でも毎日ちゃんと来るから偉いよね」
「あたしたちの癒しって感じぃ!」
「最近お仕事の時間も伸びて来たし、この子に会う時間も長くなってきたね」
「そうだねー、大丈夫かな、あんまり長い時間一緒にいると、この子のお母さんが心配しないかな?」
「お母さんがいるの!?」
「たまーに見かけるんだよ。たぶんお母さんだと思うんだけど、ある意味レアキャラかもっ」
「えー、私もみたーいっ」
「ホントにたまーにしか出てこないからね。運がよくないとっ」
「むむー、気になるなぁ」
「あ、そろそろ休憩かな。ばいばーい」
手を振られているのが分かるかのようにフンフンと鼻息を荒くして、またその子はいなくなった。
それからしばらくして、またその子が現れた時のこと。
「ふあーぁ、最近お仕事の時間も伸びてるけど、お休みの時間も長くなってない?」
「あ、わかるー。気のせいじゃなかったんだね」
「みんな思ってたの? 実はあたしもなのっ」
「あたしなんてお仕事の時間があってもほとんど待機だよ。全然次のステージに上がれないよぉ」
「いいじゃない。まだ中級まで行けてるだけ御の字よ」
「ぶー、そうかなぁ、ねぇーどう思うー?」
「あ、なんかすっごい嬉しそう!」
「すごいはしゃいでるねぇ、おもしろーい!」
「おーいっ、あたしだよーっ」
「うわぁ、すごい! 手振りかえしてくれたんじゃない? 今の!」
「えー、そうかなぁ。たまたまだったんじゃないの? ふふー」
「あなたも嬉しそうにしてるじゃないの」
「そんなことないよ! もう!」
「ニヤニヤしちゃって! この子は私のなんだからね!」
「えー、ずるーい! 私もほしぃー」
「じゃあわたしもーっ!」
「もぅ! 誰かの。じゃなくて、みんなの。でしょう? 私たちがここまで来れたのもこの子あっての物だと思わない?」
「それもそうかぁ。そうだよね。この子が居なかったらあたしたちきっとここまで来れなかったよ!」
「うんうん!」
「あ、やっと休憩かな?」
「ふぅー、長かったねーていってもほとんど控室だったけど」
小窓から見えるその子が次に姿を現したのは、またしばらく経ってからだった。
女の子たちもどんどんと事務所に数を増やしていった。
今や、トップレベルに立つ程に成長した彼女らの事務所は、人数ギリギリにまで大きくなった。
「あー、久しぶりー」
「おひさー」
「今回の休みは長かったねー」
「ほんとにねー、って、あれ? 今日こんだけ?」
「あ、ほんとだ。なんかやけに人数少ないね」
「でもまぁ、あたしたちなら少数精鋭でどうにかなるでしょ!」
「それもそうね! さ、じゃあお仕事始めますか!」
「おーっ!」
「私たち頑張って来るね! 君も一緒に応援していてね!」
そのお仕事が終わってから、その子は小窓から顔を覗かせることは無かった。
それと同時に、彼女らには長い長い休暇が訪れた。
いつまで経っても仕事が来ず、いつまで経ってもお休みは明けなかった。
▲▼▲▼▲▼
「なぁ、お前ってさ、あのゲームどうしたの?」
オタク仲間の友人が僕に何か言っている。
「オフゥ? ゲーム?」
「ほら、お前が前に言ってたアイドルのお仕事がどうとかっていう」
記憶を探れば確かにそんなゲームをやっていた気がする。
「飽きたからヤめたよ」
「え! あんなに課金してたのに!?」
今はそんな古いゲームよりも、
「こっちのが面白くってグフフ」
アイドルを落として一緒にデートしちゃうゲーム。
そんな内容のゲームの画面を友人に見せつける。
「うわぁ、やりこんでるなぁ」
「グフフ、そりゃそうだよ。僕はこのゲームでトップランカーなのだからね」
【おしまい】




