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八話

遅くなりました、すいません。


それと、タイトルの話数が数字とカタカナで混合していてすいません。すぐに訂正しました。

T・Sさんはみなさんに愛されていて羨ましいです、ほんとうにおめでとうございます。

うす暗く閉鎖的な空間の中。ここは薄汚くて不摂生な感じが気に入っている。端っこにクモの巣やアリが溜まっていても、不思議じゃない。しかし明るいシャンデリアだとか天蓋付きベットなんかがあるよりまよっぽどマシだ。部屋とは寝る為、ベッドとは寝る為だけに存在しているのだから。


今、外はどうなっているのだろう。興味があるが、ドアを開けるほどではなかった。たぶん誰もいなし。何もないし。




「ごきげんよう」



「!?」

 驚くなんていつぶりの動作だろう。突如現れた人影に、俺は起き上がるほどびっくりした。


「……お前は、ギン色……か?」


「銀色……? 私の名称ですかね?」


「俺が勝手につけた。そしてお前はなぜここにいる、ドアはこの世の誰か叩きつけようと、何年も壊れなかった。そして他の侵入経路もない」



「それを答える前に、……アナタに、まずは謝らなくてはなりません。真、申し訳ございません」



「お前が俺に何をしたんだ?」


「私がしてしまった事は、そんな小さな事だけではありません、この地球に住む人類を皆殺しにしてしまったのです」


「はぁ、なるほど。人類に罹った謎の猜疑心増長病の真犯人はお前だったのか」


「その名前も私は知らぬのですが、ここの人類が突如、戦争や紛争に明け暮れ始めた理由は、私が原因です」


 豪く気分が沈んでいる様子のギン色には同情せざるをえない。


「……どうせ暇だ。言い訳を聞いてやろう」


「そののぉと、実は私の国の重要な物なのです」


 ノートと言うからには、当然、俺が手元に持っているこれに違いない。


「それはいわゆる知的生物が一般的に持つまいなすを増長させる効果があります。訳がありまして……このまいなすを強く浴びた者が地球の生物を根絶やしにしようと企て始めました。私たちはそんな存在をみすみす見逃し、こうなってしまい、結果このように」


 なんだ、ただ責任感が強いだけで、ギン色は何も悪くないのか。


「とある、かえるさんがのぉとを取り返したのです。しかしいつ、それがまた同じ過ちをするか、わかりません。だから、かえるさんはとある提案をしました。それを破壊するという提案です」


「俺がここにいる理由は、このノートを何らかの方法で破壊するためなのか」


「申し訳ございません、実はこの部屋も、私たちが作らせていただきました。」


「俺はどうすればいい?」


「……すいません」


 謝られても困る。


「私から助言をすると、むしろ悪い方向へ進むに違いありません、しかし、どうすればいいのかは、なんとなく察しているはずです」


「俺の、『誤った記憶』の事か?」


「そうです、しかしそちらは間違っているのではありません。こちらの世界は、あちらの世界にあるまいなすを浴びて行動を起こした実行犯とカギとなる人間とのぉと、それ以外はコピーです」


「死んだ人間もか?」


「はい」


 ここの人類を皆殺しにした事は、こいつが気負いにするほどなのか?


「それで、俺がカギなのか?」


「そうなります」


「もう一度聞く、俺は何をすればいい」


「……私からは言わない方がいい事です」


「……そうか。なら、俺は多分何もしない」


 一瞬、ギン色は悲しそうな顔をした。


「これから起こりうる選択は、怠惰か、それとも行動かです……。決めるべきは私でも、誰でもない」


 俺ってわけか。

 髭をはやし、いつ洗ったかもわからないTシャツ。皺とはげになってしまった俺が、一体何選択すると言うのか。


馬鹿馬鹿しい。


「空を舞う風花は、確かにバラバラです。元は繋がっていたかもしれない花弁は、風で、みんなはどこかへ飛んでいく。

 けれど

風花が綺麗にバラバラでも綺麗なのはそこに何輪もの花びらが一つであったから。何輪もが繋がって、花だったから」



 そう言い残し、ギン色は消えた。

まるで脆くて愚かな心が自分の中にあるような言い方だ。風花だって堕ちていくだろう。そのとき、例え儚い、しかし美しいなんてみんなが思っても、俺は風花になりたいとは思わない。


繋がる時、俺は傍若無人な人間による我儘をいくつ聞けばいい? 要求をいくつ聞けばいい? そしてやっと俺が落ちる時、別れる時、ただ悲しいだけだ。



 バタン、



ドアが開いた。

まさか。あのドアは開かない。外の世界で、人類がどれだけ核を乱射したか解らないが、それでも鉄壁の如く揺るぎなかったあのドアが、何の前触れもなく開く――、いや、前触れはあったか。


「おい、T・Sからノートを貰うように聞いて、とりに来たんだが」

 T・Sって誰だ……。


「お前か? ええっと、名前はなんて言うんだ?」


 ……。


「風になびく花を見て、お前はどう思う?」


「は、……えっ?」

 いきなり現れたそいつはビックリしていた。



「う、うーむむ、どうっていわれても……ああ、

もし、その花の美しさに心奪われ、誰かが花好きになって、庭をガーデニングする趣味になったりしたら、って思うと、散りゆく花も、中々考えた事をするなぁ、って思うよ」



「ふーん」


「俺のやってる活動もそう言う意味で通じ合っているんだよな」


「あっそう、しかし俺はお前の事を嫌いにはならなかった」


「え、ああ。褒められているのか? それは」


「ま、ほらよ。ノート、」


 俺は素直にそれを渡す。さっぱりとしていて、逆に清々しい。


「おう、さんきゅう」

 そいつはそういう。


「つうか、お前こんなところにいるのか。外出ろよ」



 ……。




外は眩しかった。

睦月の風は冷たく、静か。花がそれに乗っている様子はない。今度、花でも育ててみるかするか。1月と言えば水仙か? 無垢で純真。どこか優雅なアレか。まぁ考えておこう。


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