七話
……。
意味はないが、今夜もラーメン屋に赴こうと思った。
それだけ。
「ごきげんよう、若人」
「ギン色さん、こんばんは。お美しい姿に魅かれてやってきましたよ」
「おや……お世辞がうまいですね」
「嘘は言った事ない」
大ウソ。
「今日は何を頼んだのですか?」
「台湾ラーメン、ここのは辛くてあんまり食べないけど、今日は冷えるから」
「ほう、では私もおかわりに貰いましょうか」
ギン色は食べ終えたばかりの丼ぶりを重ねると、食券を購入した。健啖なのか食べ終えた丼ぶりは昨日のものも含め、それぞれが別メニューだった。
「それにしても、今日も来たと言うのは、私に何か御用があるのでは?」
「……それはそっくりそのまま返すぞ」
「ほう、」
「昨日はなぜ、俺に声をかけた、俺は人間不信だから人間なんて知りたくもないが、しかしラーメン屋に来て冴えない男の子に声をかけるのは、明らかにヘンだ」
「……」
「ちょっとアイツちょろそう、遊べるかな、なんて思えるほど、ここらは都会じゃないしな。夜になれば大概の娯楽施設は閉まる。だからなおさら声をかける理由なし」
「ごめんなさい、」
……なぜ謝る。
「申し訳ありませんが、黙って、頭を向けてもらえませんか?」
……。
断る理由は特になかった。
彼女が求める物は不明だが、しかし神妙な顔が俺を責める。「わかった」と簡単に返事をして頭を向けると、ギン色は「ありがとうございます、すみません」と言い、俺の頭を触った。




