五話
学校は退屈だ。
俺が退屈なのはもちろん理由があって、その理由は俺が学校でも少しは退屈しない環境を作る最小限の努力すら放棄したからにすぎない。だからこそ俺はここで退屈になるたびナマケモノと罵られているようで気分も悪い。
家で夜更かしをして、授業と休み時間はほとんど寝ている。休み時間が終わっても寝る。授業が始まっても終わっても寝る。ホームルームが終わっても寝ていたりする。昼飯は抜く事がほとんどだ。
だから成績も悪い。
テストで平均点を目標にしていて、達成率も総じて芳しくない。俺はいわゆる、不良生徒だった。
三者面談の時、両親のどちらも現れず、ただ教師と生徒が対談し、せんべいを焼いて生計を立てていきますとか、雲の上にマイホームを建てたので卒業後は進学も就職もしません、などとふざけたヤツは恐らく俺一人だろう。
ノートに見惚れた俺は、寝るだけの学校でもそれを携帯していた。寝付きがよくなかったらそれでも抱いて寝るつもりだった。
しかし俺は昼休みまで熟睡すると、寝る事自体が馬鹿馬鹿しくなって、ノートを眺めるにもクラスが喧しいので静かな場所を求めて校外へ向かう。
ん。
廊下を歩いていると違和感が見つかる。いや、正確には保健室に向かうにつれ、人ごみが増す。
保健室内から汚らしい暴言が飛んで来た。やけにむしゃくしゃしているらしい、とても人間が発した音声とは思えなかった。
“今度は○山×魚くんと西▽風∧くんが喧嘩をしたの? 今日は本当に多いね”
“2年空組なんかは寝ている生徒以外で乱闘騒ぎになって、重傷者さえ出たらしいよ”
“こわい……、今日だけにしてほしいわ”
迷惑な奴らだ。
特に2年空組は俺が所属するクラスだ。俺が夢を見ている間に、そんな馬鹿が騒いでいたのか。成績は俺とどっこいの癖に偉そうに俺を評価していた馬鹿どもではあったが、ここまでくるとあきれ果てる。
内心笑っていると、また口論が開始された。保健室の正面、さっきまで世間話をしていた女子たちによるものだった。
本当に、バカで迷惑な奴らだ




