誤解
「入ってこないで。どうせまた、出てこいって説教するだけでしょ?」
「いや、今回はルイティールにお客だ」
「客……?なら、入っていいわ」
少し鬱陶しそうな声で、ルイティールは王と俺を入る事を許してくれた。
「入るぞ」
王は部屋の扉を開けた。
そこにいたルイティールに俺は驚きを隠せなかった。
髪の艶は失われ、全く整えられていない。
服も着こなしているわけでもなく、ただ自身の肌を隠すための物になっている。
そしてこちらに向けられた瞳は、光が宿っていなかった。
「ルイティールよ。流石にその姿はダメだ。着替えてきなさい」
「………分かったわ」
ルイティールは抑揚の無い声で王の言葉に答え、寝室へと向かった。
「ティー………俺の所為であんなになって……」
「君が悪い訳じゃないんだよ。結果から言うと殆ど、第一王女、アイメルの所為だ」
「は?」
俺は王のその言葉に驚く事しかできなかった。
俺の所為ではなく、あのビッチ王女の所為だと?
「アイメルは君が魔王になった事を話してしまったんだ。まぁ、それぐらいならルイティールは沈まんのだが、アイメルは余計な事を吹き込んだんだ」
「余計な事……とは?」
怒りで声が震えた。
「君が魔王になったのはルイティールの所為だ。ルイティールが君を魔王にし、王国から追放させたんだと、永遠に言い続けていたらしく、気づいた時にはもうこのような状態だったんだ」
「……あいつ………なんて事しやがったんだっ!!」
俺からは大量の魔力が漏れ出した。
「落ち着くんだっ!今怒ったら関係のない人まで巻き込まれてしまうっ!」
「っ………!…すまない……取り乱してしまった」
俺はなんとか魔力を押さえ込み、王の方をみた。
「君がルイティールを大切に思っているのは、王宮中の人全員が知っている。だけど、今は取り乱さないでくれ」
「……分かっている。分かってはいるが………ティーは…「着替えたわ」………ティー……」
ルイティールはドレス正装姿で、寝室から出てきた。
王家特有の淡い水色の髪に合うように、色を合わせたドレス。腹部はコルセットで締めているが、本人の細いウエストが一段と細く見える。
「ルイティールよ、少し外でパーティーがある。今日は息抜きとして、出てきてくれんか?」
「嫌よ。もう、私は外と関わりを持ちたくない」
「例え相手が魔王であってもか?」
「えっ……?」
ルイティールはぱっと手を口に当てた。
理由は単純。
嗚咽を堪えるためだ。
「ルイティールよ。何も彼が魔王になったのはお前の所為ではないんだよ」
「っ………うっ……それは………ひっく……どういう…事……ですか?」
「それは本人に聞けばいいだろ」
王はルイティールの背中をトン、とおした。
ルイティールは俺の前まで危うげに止まった。
「………………」
「クロトなの?」
「……っ…あ、あぁ……」
「どうして出て行ってしまったの?」
「お前の姉に耐えれ無かったのと、後は………なんか、暇……だったから……つい」
「え……?」
ルイティールはポカンと俺を見た。
ちょっ………その顔新鮮と思っていた事は、顔に出さず、なんとか堪えた。
「では、私の所為ではないの?」
「当たり前だ。悪いのはあのバカだけだ。お前が苦しむ事はないんだ」
「そう………なら、一言ぐらい私に言えばよかったのにっ!」
ルイティールは大きく手を振り上げた。
「えっ……⁉︎ちょっ……まっ……!」
「問答無用っ!降り注げ嵐の矢!【ストームアロー】っ!」
「うぇぇぇえぇぇぇっ!!!!」
俺はそれを受けたと共に、一気に視界が暗転した。
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更新遅れて申し訳ありませんでした。
m(__)m




