勇者(笑)が俺の所までやって来た
「ふぅ……いざ魔王になってみると、これもこれで以外と暇だな」
周りにはうろうろと悪魔(人型)がうろついている。
なんか逆に俺が人質みたいな感覚だな。
「魔王様。今宵は何をなさいますか?」
「ん〜……寝よっかな」
「またですか……いい加減に人間世界の征服とか、そういう魔王らしい事ぐらい言ってくださいよ」
「だって今の勇者ヒビリじゃん?」
「た、確かにそうですが……」
「元勇者から見ればあんなのただの雑魚だ」
ヒビリってもただの内心ヒビリのイケメソだしな。
まじからかいがいがありそうだな。
「全くあり得ませんよ。元勇者が魔王になるなど……。前代未聞ですよ」
悪魔は呆れたように溜息をつく。
「いや、だって暇だったし、ビッチ王女の相手すんの嫌じゃん」
「うっ……確かに…」
『ダダダダダダっ‼︎』
「ん?なんだ?」
「はて、なんでしょう?」
『ズ、バァァァァンっ‼︎』
魔王の間の扉が蹴破られた。
「た、大変ですっ!勇者達が攻めてきましたっ!」
「へぇ〜。ビビリ勇者が攻めて来たんだ」
「……それがどうしたんですか?」
俺は自分が言った癖に、慌ててきた悪魔に対して憐れと思ってしまった。
俺の所為なのにな。
「へっ⁉︎ゆ、ゆゆゆゆ勇者ですよっ⁉︎此処につかれてはもう、おしまいですっ!」
「え、だってその勇者、俺より弱いけど?」
「なんで知ってられるんですか?」
「ん?だって、人間の偵察に行った時、たまたま勇者見かけたんだけど、あれはまともに訓練してないし、魔力の練り上げ方も雑だし、属性少ないし、まだまだあるけど、まぁざっくり言うと弱い」
「はぁ……貴方様って人は……」
人じゃなくてもう、魔王なんだけど。
流石にそれは言わず黙っておく。
なんか後々怖い事が起こる気がするから。
「いたぞっ!此処だぁっ!」
魔王の間に赤い鎧を着た国兵がいつの間にかいた。
「あれまぁ……。此処まで来ちゃったか」
「此処まで来てしまいましたね。何故か物凄く憐れな気分になるんですけれども」
「あぁ……今それ俺も思ったわ。やる本人だけどな」
なんか大軍が押し寄せてきてる様な足音がきこえんだけど。
ん?でも、実際の音より、人数は遥かに少ないな。
「まぁいい。暇潰しの時間だ」
誰もが鳥肌がたつような、ゾッとした笑みを浮かべた。




