ロリ女王のスカートを捲ってぱんつを脱がし、その中身を確認しようとする勇者
吹田淳はごく普通の男子高校生である。
特別な才能や血統や友人や環境や価値観などを持たないという意味においてだが。
しいてあまり普通ではない点をあげるとするなら、親の方針で、携帯を持たせてもらったのが随分と遅かった事。
そして、フィギュアオタクという点である。
コツコツとバイトをして貯めた金でフィギュアを買い、眺め、撫で、悦に浸る。
それが淳の、あまり他人には言えない趣味であった。
親と暮らしていて困るのはフィギュアの隠し場所で、ヒーローやクリーチャーモノのフィギュアなら良いものの、美少女フィギュアに関しては、母親に見つからないように保管するのは、エロ本を隠すよりも大変な事だった。
淳は母親は(というか女性は皆一般的に)、ロボットなどのプラモデルには一切興味を示さない事に気づき、これを逆手に取り、組立て終わったプラモの空き箱の中にフィギュアを保管していた。
淳はフツーにプラモ自体も好きだったので(ガンプラ限定だが)、これは一石二鳥の作戦である。
その日、新作フィギュアを買いに秋葉まで行った淳は帰り道、つい先日買ってもらったばかりの携帯にメールが届いている事に気付いた。
そこにはこう書いてあった。
『私達の世界を助けてくれる勇者サマ募集♪ヒーローになるチャンスだよ!可愛い女の子達に感謝されてちやほやされるかも?!異世界へはコチラをクリック』
携帯を持たされるのが遅かった為、スパムメールというものを知識では知っていても実際に見た事が無かった彼は、警戒せず興味本位にリンクをクリックしてしまった。
その瞬間、淳は突如足元が消えたような感覚に襲われた。
次の瞬間、淳は空中にいた。
何が何やら判らぬ内に落下した。
幸い、それほど高くはなかったので大事には至らなかったが、何かを踏みつけてしまったようだ。
そしてそのままバランスを崩して尻餅をついてしまった。
「いてて…一体何が…」
足元見ると、ドールハウスみたいなミニチュアのお城がある。
どうやらそれを踏み潰してバランスを崩してこけてしまったようだ。
「うわ!これ何かのセットじゃないの?!やっば、壊しちゃった!」
慌てて足を引っこ抜いて自分が踏み潰してしまった部分を確認する。
そこには何か小さな生き物が潰れていた。腸や内臓のようなものがハミ出ている。
「うげ!何か踏み潰しちゃってる!きったな!」
淳は右足の靴底にこびりついた肉片を地面に擦りつけて落とす。
「もー、なんだよこれ。誰がこんなのこんなトコに置いたんだよ…」
改めて周りを見渡すと、さっきまでの町並みとは随分様子が違っていた。
「ていうかあれ?ここどこだ?僕さっきまで道歩いてたよね…?」
そこはどう見ても街中ではなかった。
周りには何も無く、妙に低い空と山があって、足元には西欧風のお城や街のミニチュアが広がっている。
まるでウルトラマンとかの特撮作品のセットの中に入り込んでしまったかのようだった。
「どっかの撮影スタジオ…?どうして僕、こんなところに…?」
自分がここに来た経緯がまったく思い出せない。
ついさっきまで普通に街の中を歩いていたのに。
事故か何かで記憶を失って、その間にここに来るような出来事があって、つい先ほど記憶が戻ったとかだろうか?
それぐらいしか今の自分に起きている奇っ怪な現象の説明ができない。
しかし、その割には自分の格好がついさっきまでと何も変わっていない事がおかしい。
秋葉で買ってきたフィギュアまでそのままだ。
わけがわからず混乱していると、先ほど踏み抜いたお城のミニチュアから何か音が聞こえてきた。
それは小さく高い音で、何を言ってるのかわからなかったが、どうも人間の声っぽかった。
「何の音だろう?」
踏み抜いた天井から改めて城の中身を確認すると、そこには信じられない光景が!
「フィ、フィギュアが動いてる…?!」
お城の模型の中には、先ほど自分が踏み潰した生き物の他に、美少女フィギュアが三つと、クリーチャーフィギュアが二つあって、何体かが動いて何かを喋っていた。
目の錯覚かと思って目を擦り、もう一度よく見てみるが、やはりフィギュアは確かに動いている。
クリーチャーフィギュアはこちらと目が合うと、そそくさと逃げ出してしまった。
「ふぇー…何だこれ。フィギュアの中にラジコンでも仕込んでるのかな?それとも立体映像か何かだろうか?」
お姫様のような服装のフィギュアに手を伸ばし、つんつんとつついてみる。
「さわれる…てことは立体映像じゃないのか。」
掴んで持ち上げてみる。確かに感触がある。
フィギュアは何やら声をあげて暴れている。
「うわぁ…よくできてるなコレ。1/10スケールぐらいかな?こんなに精巧なフィギュア初めて見た。モーター音とかもしないし、一体どういう原理で動いてるんだろ?」
フィギュアオタとして俄然興味をそそられる。
とりあえずひっくり返してスカートの中を確認する。フィギュアオタの習性だ。
「おお!スカートがちゃんと捲れる!中身の作り込みもすげえ!!」
フィギュアのスカートがちゃんと重力に引かれて捲れるというのは衝撃的だった。
ドールならスカートは布製だが、このサイズではこんな風に人間のはいたスカートが捲れるような感じにはならない。
「何か特殊な材質の布でも使ってるんだろうか…?」
指でスカートをつまんで手触りを確かめてみる。
確かに妙な手触りだった。布というには妙にツルツルしてるというか、繊維が非常に細かいように感じる。
「ぱんつもこれ、一体成型じゃなくて別パーツか?」
指先をぱんつ部分に引っ掛けて動かすと、どんどんぱんつがズレていく。
ぱんつもまた、恐ろしいほど精巧にできている。ぱんつが肌に食い込む質感まで完璧だ。
「す、すごい…ぱんつまでここまで精巧に作りこまれているなら、その中身は…」
ゴクリ
淳は興奮していた。
淳の姿は傍から見ると、美少女フィギュアをひっくり返してはぁはぁ言いながらスカートの中を除いて夢中になってぱんつを外そうとしてる変態にしか見えない。
フィギュアのぱんつが脱げて股間が見えそうになったその時、
「そこまでよ!それ以上はアメリア様がお嫁に行けなくなる!!」
と、制止する声が聞こえた。
今度は先ほどの何を言ってるのか判らない音ではなく、確かに日本語で聞こえた。
淳はぱんつを下ろす手を止め、辺りを見回す。
「ち、違うんだ!良くできてるなぁと思って、作りを確かめてただけだよ!僕ってその、立体造形に興味があるから!べ、別にそんな、変な目で見てたワケじゃないよ!!ホント!!」
だが、辺りを見回しても言葉を発した本人が見当たらない。
「あ、あれ…?」
「ここよ、ここ。」
お城のミニチュアの中から声が聞こえる。
中を除くと、エロい格好をした女のフィギュアがこちらを見上げていた。
それはボディラインがピッチリ現れた黒い全身タイツを着用し、その上から魔法使いのローブのような物を羽織った格好をしていた。
エロい格好のフィギュアはぺこりと会釈をすると再び喋りだした。
「召喚に応じていただき、ありがとうございます、勇者よ。でも、それ以上はアメリア様のトラウマになりかねないから勘弁してもらえるかしら?」
「アメリアって…」
淳は手に持ったお姫様のようなフィギュアを見る。その顔は何だか泣いているように見えた。
「そう。あなたが手に持っているソレよ。一応この国の大事な女王様なのよ。返していただけるかしら?」
「は、はぁ…」
あっけに取られるまま、手に持ったフィギュアをお城の中に戻す。
お姫様のようなフィギュアはべそをかきながらぱんつを履きなおすと、エロい格好をしたフィギュアに抱きついた。
エロフィギュアがお姫様のフィギュアをよしよしと慰めているように見える。
「すっごい…まるで本当に生きてるみたいだ…。なんてクオリティだよ、これ。フィギュア職人マジパネェ。」
ラジコンで遠隔操作するにしても、こんな小さな物をここまで自然に動かすなんて、只者じゃない。
「そういえばスピーカーはどこにあるんだろ?さすがに人形が喋ってるわけではないだろうし…」
キョロキョロと辺りを見回す。
「スピーカーなんて無いわ。私は今、魔法であなたとの言語イメージを魔法的に繋げて会話しているの。どうやら言葉が通じないみたいだから。」
「は?魔法?」
「ああ、それと、あまり大きな声で喋るのはやめていただけるかしら?私達には物凄く大きな重低音が響いてるように聞こえるのよ。」
プッ、と思わず笑ってしまった。
「何かおかしい?」
「いえ、その、シチュエーションとか設定にも凄くこだわってるんだな、と思いまして。
あ、別に悪い意味じゃ無くてですね、そういうこだわりが、こんなにも精巧なフィギュアを作り出したんだなぁと敬服してるぐらいです。」
淳はどこかでこれを見ているであろう操縦者に向けて話した。
淳はこれはきっと最新技術で作られたフィギュアの宣伝を兼ねたドッキリなのだと解釈した。
自分はたまたま通りかかってそのドッキリの対象に選ばれただけなのだと。
それが一番この状況を上手く説明できる。
ここに来るまでの記憶が無いのが気がかりではあったが、そこを無視すれば有り得ない話ではない。
「何か勘違いしてるようね。私達は人形じゃないし、このお城もミニチュアじゃない。誰かが操ってるわけじゃないわ。」
そう言うと、エロいフィギュアは他の2体の美少女フィギュアを捕まえ、何かゴニョゴニョと呪文を唱えた。
すると3体の美少女フィギュアの足元と、ミニチュアのお城の屋上に魔法陣が現れた。
そしてフィギュア達がその魔法陣の中に沈んでいったかと思うと、今度は屋上の魔法陣から3体が再び姿を現した。
「ほらね。人間だから魔法だって使えるのよ。」
「て、手品?いや、でも物理的に…」
指を伸ばしてつんつんと触ってみる。
「あ、コラ!おっぱい触るな!!」
「立体映像じゃない…何だこれ?!」
さすがに理解の限界を越えて軽くパニックを起こす。
そして結論づけた。
「ああ、これは夢だ。夢なんだな。どうりでさっきからおかしな事ばかり起きると思った!いくら何でもここまで精巧で動くフィギュアなんてあるわけないもんな!!」
「だーかーら、模型でも夢でもないって!これは現実なの!」
「いや、そんな事言われても、全然現実的じゃないんですけど!!」
「あなたの世界ではそうかもしれないけど、ここではこれが現実なの!
いい?ここはあなたの住む世界とは違う異世界なのよ。お城も山も空も木も動物も人間も、全て本物。ただ、あなた達の世界とは大きさが違うだけ。」
「い…異世界…?」
「そうよ。こちらの世界では魔王が魔物を率いて次々と人間の国々を滅ぼしていてね、その脅威に対抗するために、異世界から勇者を召喚する事にしたのよ。そして現れたのがあなた。」
「僕が…勇者…?」
「そうよ。そちらの世界に送った文面を読んだでしょ?あなたは異世界への召喚に同意したはずよ。」
勇者とか異世界とかの単語を聞いて、ようやくさっき携帯に届いていたメールを思い出した。
(あれのせいか…)
非現実的な話だが、ようやく全ての辻褄が合う。
夢でないなら、もうこのフィギュアの言う事を信じるしかない。
「まったくもー、何日も前から手当たり次第にあの文面送ってるのに、誰も来てくれないんだもん、困っちゃったわよ。お陰で魔族に攻め込まれて危うく死ぬところだったし。
あなたの世界の人間ってちょっと他人に無関心すぎやしない?」
(いや、僕はうっかりクリックしちゃったけど、良く良く考えてみたら、あんなのフツーは誰でもスパムメールと思っちゃうでしょ…)
「って、そんな事より!さっき魔王とか勇者とか言ってたよね?それって、僕に魔王と戦えって事?」
「そうよ。その為にあなたを召喚したんだもの。あなたも同意したでしょ?」
「で、でも僕、自分で言うのも何だけど、どこにでもいるごく普通の男子高校生だから、戦闘とか全然だから、魔王と戦うとか、そういうの無理なんだけど…」
殴りあいの喧嘩なんて小学生までしかやってない。
授業で一応柔道とかはやったけど、そんなものが魔王なんかに通用するとは到底思えない。
「だからどうか、この件は無かった事に…」
だが、エロいフィギュアはくすくすと笑った。
「ふふ、そんな事気にしてるの?だーいじょーぶよ。ちゃあんとそこまで考えて召喚対象の世界を選んだんだから。」
「どういう事?」
「いい?あなた達の世界は私達の世界の10倍は大きい。
しかもそんなに大きくても自重で潰れたり動きが遅くなったりせず、私達の動きをそのまま10倍にしたような動きができる物理法則があなた達の世界にはある。
私はあなた達の世界の物理法則ごとあなたを召喚したのよ。
10倍の大きさの生物が、その10分の1の大きさの生物と同じように動けるというのは、それだけで10分の1の生物にとってはとてつもない脅威だわ。」
「??えーと、つまりどういう事?」
「つまり、あなたぐらい大きければ、個人の戦闘技能なんて関係なく、この世界じゃ無双できちゃうって事!!魔王だって楽勝よ!!」
「そ、そうなの?」
「そうそう♪」
「じゃ、じゃあやってみようかな、勇者…」
「やった!じゃあさっきみたいにお願いね。この街に攻め込んできてる魔族達を全部やっつけちゃって!」
「え?さっきみたいって…」
「あなたが現れた時、さっそく魔物を一匹踏み潰してくれたじゃない。あんな感じで残りもグチャーって、お願い♪」
「あ、すいません、やっぱ勇者やめていいっすか?」
「え?」
勇者のまさかの戦闘拒否に、エロい格好のフィギュアこと、宮廷魔導士ソニアは固まった。




