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10/1スケール勇者  作者: 分子
小人の世界パリトット編
17/20

突如明かされる世界の真相!という事は、いよいよクライマックス!!

「な…なんということじゃ……」

魔法使いの老人は呆然とした顔で灼熱地獄と化した魔王城を見ていた。


「ふふ…やっぱり来たわね、アイツ。随分派手にやってくれちゃって!」

「ソ…ソニア!貴様、異世界召喚の儀式を片付けておらなんだな!!」

「ふん!逆召喚に応じるとは約束したけど、異世界召喚の儀式を片付けるとは言ってないわよ!!」

ソニアは勇者を召喚する儀式を、ロサナらに命じてそのままにしておいたのだ。

勇者が再びこちらの世界に戻ってくる事を信じて。

「こっそり魔法をかけておいたのよ。」

ソニアは人の心を操る魔法を使う事ができる。

ただし、その魔法はその人のやりたくない事をさせる事はできない。

逆に、やりたいけど理性が邪魔をしてやれない事をさせる魔法なのだ。

「勇者の、アメリアやパリトットの人達を守りたいという心にね。」

「それで…あやつが帰ってきたと言うのか……」

「いえ。私の魔法のせいじゃないわ。私の魔法はやりたいと思ってることをさせる魔法だもの。帰って来たのは勇者自身の意思。けど…」

ソニアはニヤリと笑う。

「私の魔法で魔族に対する罪悪感や慈悲の心を失った勇者は、もう容赦しないわよ!!」




「ゆ、勇者様!!やりすぎです!!魔王城が燃えてます!!これではアメリア様が!!」

「し、しまった!あまりの魔蟲達の気持ち悪さに我を忘れてしまった!!何とかアメリアを魔王城から助け出さないと!!」

「し、しかしどうやって?魔王城のどこにアメリア様がとらわれているか…」

(どうする?悩んでる時間は無い。どんどん炎は燃え広がっている。早くアメリアを見つけないと…)

淳は思い出した。ソニアとの会話を。

『あまり大きな声で喋るのはやめていただけるかしら?私達には物凄く大きな重低音が響いてるように聞こえるのよ。』

淳は思いっきり息を吸い込み、ありったけの大声で叫んだ。

「アメリアーーーーー!!!!」


その地を揺らすような重低音は、結婚式の中、虚ろな表情で佇むアメリアの心に届いた。

アメリアの瞳に光が戻る。

アメリアは魔兵士を振りほどき、城の外へと駆け出した。

「淳ーーーー!!!」



「いた!!!」

淳はアメリアを見つける。

炎に包まれた魔王城4階バルコニー。

そこにアメリアはいた。

「待っててね。今そっちに行くから。」

淳は燃え盛る炎の中を進んでいく。

「勇者殿!!危険です!!あなたの服にまで炎が燃え移ってる!!」

ロサナが止めようとするが、気にしない。

「大丈夫だ。むしろこの熱さが心地よい。なぜならこれこそが……身を焦がす恋!!」

「淳…」

アメリアが嬉し泣きで涙をポロポロ流している。

淳はアメリアへと手を伸ばす。


だが、その時邪魔が入った。

「させるかぁああ!!異世界の勇者だか何だか知らんが、この魔王子コゾーマ様から、アメリアたんを奪うのは許さ」

メリッ

淳はアメリアへと伸ばした手をそのままコゾーマに向けて振り払った。

コゾーマは壁にめり込んで死んだ。


「淳!!」

アメリアは淳の胸元へと飛び込んだ。

淳はアメリアを優しく抱いた。

「遅かったじゃない!」

どこからともなくソニアも現れた。

「さ、早くここから離脱しましょ!」

ソニアに言われるまでもなく、淳はアメリアとソニアを回収すると、魔王城から飛び退いた。

「早く!服を!服を脱いで!!」

ロサナに促されるまま、火の燃え移った服を脱いで地面に叩きつけて消火する。

淳は少し火傷を負ったが、何とか大事に至らずに済んだ。




「…これで全て終わったのね。」

炎に飲み込まれ、崩れ落ちる魔王城を眺めながらソニアが言う。

「うん。これでもう魔族は…」


その時、邪悪な声が辺りに響いた。

「…許さぬ…よくも我が魔族軍を……わが息子を……許さん…お前だけは……」

「魔王?!」

それは6つの翼と蟲の頭と魚のヒレと獣の体と竜の鱗と、その他色んな魔物を付け合わせたようなおぞましい姿をしていた。

魔王ベルゼサタファー。

最強の魔物が魔王城上空に浮かんでいた。


それだけではない。

その隣にはソニアの魔法の師でもある魔法使いの老人、〝調整者”が。

「やれやれ…とんでもない事をしてくれたのぅ……。ソニアよ、勇者よ、お主らが何をしたのかわかっておるのか?」

調整者は語りだす。

「魔物や魔王は、人間が増えすぎてこの世界を圧迫させぬよう、人口を調整する為の、人類の天敵として生み出された存在じゃぞ。」

「な、何だって?!」

「他の異世界では、人類が魔物達を滅ぼしてしまったばかりに、人口に歯止めが効かなくなり、滅んだ世界もある。そこな勇者の世界もその一つじゃ。」

「えええ?!初耳なんだけど、それ!!」

淳がそんなの聞いたことない、と反論する。

「あれ?じゃあ違ったかもしれん。まぁとにかく、魔物が滅びてしまうと、人口が増えすぎて世界が滅ぶのじゃ。それは間違いない。」

「し、しかし、だからといって魔物が人間を滅ぼしてしもうては、同じ事ではないのかえ?!」

アメリアの口調は調整者の老人口調と似ていて紛らわしい。

「そうさせぬよう、我々〝調整者”がおるのだ。その時々で魔族にも人間にも味方し、パワーバランスを調整する。世界を滅びから遠ざけるためにな。

…なのに、そこにいるソニアは、私利私欲に目がくらんで、異世界からとんでもない勇者を召喚しおった!おかげでこの世界のパワーバランスは滅茶苦茶になってしもうた!!」

「うっさい!調整とかバランスとか気にして、自分が自分らしく生きられない世の中なんてゴメンだわ!!」

「まったく。このような計画性も何も無い、利己主義な女に魔法を教えたのが間違いであった。……この後始末は、ワシ自らが付けようぞ!!」

調整者はそう言うと、何やら呪文を唱え始める。

すると、調整者の体が魔王の体と融合を始めていった。

「こうなっては仕方がない。魔王の力と我が魔法によってそこな勇者を討ち滅ぼし、再び魔族を増やし、世界のバランスを調整する!!」


「な…何なのあれは…!」

「魔王がどんどん大きく…!!」


調整者と融合した魔王は、どんどんその姿が巨大になっていく。

その大きさは淳と殆ど変わらないサイズにまでなった。


「こ、これはヤバイ!!皆、車に乗るんだ!!!」

淳はアメリアとロサナとソニアを車に乗せると、急いでドアを閉めた。

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