自己紹介(融サイド4話)
入学式の後のホームルームって言ったら
大体が自己紹介だ。
まず最初に担任が黒板に名前を書いて適当に趣味や特技を話して
次は出席番号が1番の奴から順にってのが普通だ
それは、この高校もそうだった。
先生の名前は、佐藤由香子
いたって普通の名前だ。
担当は英語で、趣味はピアノだそうだ
正直どうでもいい。
で次は生徒の番。
ちなみに僕は28番。
気になる彼女は20番。
みんな言うのは名前と出身中学、部活だけ
この程度で、その人の何がわかるのだろうか。
あまりにつまらない自己紹介ばかりで
ほとんど誰の自己紹介も聞いていなかった
聞かずに、拍手だけした。
拍手しないと周りから嫌な奴だと思われそうだから
別に思われてもいいんだが
そうなると何かとめんどくさいことがおきるから
一様形だけは聞いてましたってフリをした
1人だけはちゃんと聞いた
それはもちろん彼女
名前は渡邊香苗。
出身中学は高校のすぐ近くの中学
部活は特になし。
趣味も特になし。
以上
・・・・
なんて内容の薄い自己紹介
でも二つわかったことがある。
それは名前が渡邊香苗ということ
もうひとつは、この子は変わっているということだ
普通自己紹介なら
特に趣味がなくても、読書とか音楽鑑賞とかって言うのが普通だ
それを堂々と「特に無いです」だ
やはり普通の女の子ではない。
それが僕の彼女への興味を強めたのは言うまでも無い。