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君色スカイ  作者: 悠太
29/29

I have a シート!!

山頂に到着したのは12時30ごろだった。

山頂についたとはいってもたった2時間で登りきれる程度の山だ。

別に絶景が広がっているわけでもなかった。

唯一待っていたのは弁当だ。

いつもはとっくに弁当を食べきっている時間だからおなかがすいてしょうがなかった。

いつもは3時間目が終わり次第、10分休憩の間に早弁をする。

男子高校生の大半は早弁の経験があるはずだ。


おれは早速シートを引き、お弁当を食べようとしていた。

シートを引き、ここまでは暑いのを我慢して着ていたジャージを脱いだ。

貴樹たちはだれもシートを持ってきていないらしく、なんかもめていた。

俺はそんなつまらない言い合いをよそ目に、水筒のお茶で一服した。

「あ、さすが融。やっぱお前は偉いな。じゃあちょっとここ借りるぞ」

「俺も」

「俺も」

俺も俺もって、俺ののシートは一人でぎりぎりサイズ。



「バカお前狭い。あ、おいそこに・・・・」

「あ、悪い」

俺の水筒を貴樹のひじが直撃。ふたが開いていたせいで、脱いでおいてあった気になる彼の上のジャージがびしょびしょに。

「貴樹てめぇ。」

一様怒ってはみたけど実はラッキーだと思った。

これでこれからもっと暑くなっていく中をジャージで歩かなくていい正当な理由ができた。

「いや、ほんとにわざとじゃないんだって」

いや、わざとでもいいぞ貴樹お前GOODJOBだ。

しかし、シートはお茶でびしょびしょだ。

そんな時。

「ねえ。シートもって来てないならうちらの使う?」

この子は気になる彼女の友達の高橋さん

「え、いいの?」

貴樹は間髪いれずに答えた。

「別にいいよ。みんなで食べたほうが楽しいし。ねえ歩」

「うん。そうだね」

「本当にいいの?」

貴樹の声がすごくうれしそうだ。

実は俺は貴樹が高橋さんを好きなんじゃないかと思ってる。

これは親友ならではの勘だ。

「いいっていってんじゃん。早くおいでよ」

「じゃあ行こうぜ。融」

え!!俺も一緒に行くの!!


「は!?別に俺は自分のシートあるし」

「お前せっかく誘ってっくれてんだから行こうぜ」

いやだって。向こうには気になる彼女がいるわけで。

一緒にお弁当を食べるってのはちょっと。

「お前らだけ行けばいいじゃん」

後から思えば一緒に弁当を食べるぐらいどうってことのないはずなのに。

このときの俺はそれがすごく恥ずかしかった。


「融君も来なよ。ひとりで食べてたらさびしいでしょ?」

「そうやで融。一緒に行くぞ」

貴樹はなぜだか知らないけど、ごくまれに関西弁になる。

関西に住んでいたなんて聞いたことないけれど

とか思っているうちに。

貴樹と高橋さんは俺の腕を二人で引っ張って連れて行こうとしていた。

「とか言いながらもう引っ張ってんじゃね~かよ!!」

一様口では反抗していたけれど、内心はめちゃくちゃうれしかった。

ただ、気になる彼女と一緒にお弁当を食べる。

ただそれだけなのに。

「何のことやろうね。ねえ貴樹君?」

「さあな。高橋さんなんのことやろう?」

それともうひとつうれしいことがあった。

親友が好きな人と始めての共同作業をしていることだ。

「おい、行くから。行くから離せって!!」




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