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君色スカイ  作者: 悠太
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キューピット作戦後編(特別編貴樹サイド)

明日ははとうとうピクニックだ。

明日のために俺と高橋さんは念入りに作戦を練った。

いきなり付き合わせるのは難しいだろう、ということで。

まずはお互いのことを意識させることがこのピクニックの目標だ。


作戦はこうだ。

まず、バスの座席だ。

バスの座席を隣同士にさせる。

座席決めはくじ引きでする。

くじには細工をする。細工といってもかんたんなことだ。

高橋さんはこのクラスの委員長だから、高橋さんがくじを配る。

そこで、もとから袋を5つ作っておく。

俺が引くための物・貴樹が引く袋・渡邊さんが引く袋・それ以外の人が引く袋ともうひとつだ。

この5つの袋をすり替えながらくじを引かせる。

俺・貴樹・渡邊さんがそれぞれ引く袋には、それぞれ同じ番号が書いた紙ばかりが入っている。

そうすれば俺と高橋さんが指定した席に着くことになる。

これだけで終わったらいたって普通の作戦だ。

俺たちはもうちょっとひねってある。

ただ、くじ運で隣になるのでは面白くない。

そこで登場するのがもうひとつの袋だ。

この袋には貴樹の隣の席の番号が入っている。

その袋を引く子は、石井瞳という女の子だ。

この子は高橋さんと同じ中学で車酔いしやすい子だそうだ。

石井さんには事前に事情を説明して、くじを引いてから車酔いしやすいから前の人と変わってほしいと頼んでくれるようにお願いしてある。

(事情を説明したときには、石井さんは「すごく面白そう!!ほかにも協力できることあったらいってね!!」とかなり乗り気だった)


渡辺さんの袋には1番前の席の番号が入っている。

感のいい人はもうわかったかな?(笑)

このくじの作戦は、接点を作るだけではなく、本当に渡邊さんが融に気があるのかを確かめる意味もあるのだ。

石井さんが変わってといって、渡邊さんが変わりたいといったら徹に気がある。

言わなければ、なんとも思っていない。

なんとも思ってないのにくっ付けようとするのは、迷惑なだけだからこそ、ちゃんと確かめる必要があったのだ。



作戦の結果は・・・

大成功(笑)

渡邊さんは自ら石井さんと変わりたいと名乗り出て、思惑通り融の横の席にやってきた。

(ちなみに俺の席は融のうしろね。)



作戦の第2ラウンドは、噂話作戦だ。

石井さんがあまりにも乗り気なので、ここでも協力してもらうことにした。

渡邊さんが融に気があることは確認できたが、融はどうなのかわからない。

そこで、ピクニックが始まりグループで歩き始めたころに

俺が急に渡辺さんが好きなのかを直接聞く。

ドストレイトな作戦だが、融にはこれが一番効く。

親友の俺だから知っている融の癖で、

融はうそをつくとき絶対に右上を見る。

だから、直接こんなことを聞けば、絶対に否定するだろう。

右上を見ながら否定すれば気があるということだ。

目は口ほどに物を言う。とはまったく融の目のことだ。


右上を見た場合は。

俺が後ろを歩いている石井さんに合図して、石井さんは渡邊さんが一緒に歩くであろう高橋さんのグループに行って

「融は渡邊さん好きらしい。」という噂話をする

そうすれば、融に気があるのか・ないのか。あるならば渡邊さんによりいっそう融を意識させられる。

すばらしい2段攻撃だ。


そして第3ラウンドは

ここまで来る過程でお互いに気があることがわかっているので。

作戦名は一緒に弁当を食べたあとは一緒に下山しちゃおう作戦だ。

簡単にいえば、俺たちシート忘れちゃった~。このままじゃ座るところが無いよう~。

そこへ、高橋さんが私たちのところ座っていいよ~。ってことだ。

ここで問題なのが、融以外のグループ全員がシートを忘れなければいけないことだ。

一人でも持ってきてしまったら、全員でそれに座ることになってしまう。

男ばっかりが集まって弁当なんてむさくるしいったらありゃしない。


そこで事前に一緒に歩くであろうメンバーに協力のお願いをした。

すると全員「面白そう!!」と全員超協力的だった。

(正直、ほかにも渡邊さんのことが好きな奴がいたらどうしようかと、ヒヤヒヤした)

これで融以外全員がシートを持ってこないことは確定した。


まだ問題はある。

まず、地面に直接座ると融が言い出す可能性だ。

その場合は、俺が地べたに座るなんて嫌!!とダダをこねることになった。

(これは高橋さんの考えで、ダダをこねる時は女っぽくって言う要求がでている。)


もうひとつの可能性が、貴樹がシートを持ってくるパターンだ。

この場合は、なんかその場で適当に理由をつけて俺と高橋さんで無理やり引きずって連れて行く。


後半に行くに連れてどんどん適当になっている気がするけれど

作戦はざっとこんなもんだ。


正直この作戦は成功してくれないと困る。

この作戦はあくまで第1段階。

意識させたあともまだまだ作戦は続くのだ。


いや、本当は作戦なんてどうでもいい。

俺が高橋さんともっと話していたいだけだ。

人の恋愛の手伝いをしてる振りをして、実は俺は俺で意識させるための作戦を実行中なわけだ。

これからも俺の作戦を続けるためには。

なんとしても明日、作戦を成功させなければいけない。

そう硬く決意して俺は眠った。

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