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君色スカイ  作者: 悠太
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我思う故に我あり(融サイド)

1時間半ほどあるくと、道が遊歩道でなくただの砂利道になった。

こうなると急に足に疲労感が襲ってくる。

さっきまでうるさかったグループも先ほどまでの勢いはない。

最初からはしゃぐからだ。

と心の中でざまー見ろと思った。

漫画みたいに思っていることがフワフワ中に浮いて見えるめがねなんかがあったら

俺には友達いないだろうな。

そんなくだらないことを考えている自分がおかしかった。

「なあ。なんか面白い話してくれよ。黙ってると疲れる」

急に貴樹が口を開いた。

「しゃべってるほうが疲れるだろ」

「ああ。まじ疲れた」

「いや詰まんないジャン。せっかくみんなで歩いてんだからさなんか話そうぜ。疲れるけど」

「じゃあ貴樹から話せよ。俺は疲れるから聞く専」



「おい!!疲れた疲れたいうな!!余計疲れる!!」

まったく。

疲れているときに疲れた。って言葉を聴くと余計に疲れる。

これは不思議なはなしだ。

お化けやしきではキャーと悲鳴を上げて歩くほうが恐怖感は減るそうだ。

ほかにも、注射をされるときに「痛い痛い」と連呼しているほうが我慢するより痛みを感じないそうだ。

なのに疲れたときに「疲れた」というと余計に疲れるのはどうしてだろうか。


でも。疲れたときに「疲れた」といえば感じる疲れが減るのなら

この世の中はきっと「疲れた」だらけだ。

道を歩く人はみんな「疲れた」を連呼して歩くだろう。

それはそれで嫌だ。

世の中は本当によくできていると思う。

おれ自身神様ってのはあまり信じていない。

でも、神様がいないとは思わない。

自分でも矛盾していると思う。

信じないのにいないとは思わない。


要するに、宇宙人はいるかいないかと同じ話だ。

宇宙人はいないと信じる人は、宇宙人に直接会ったことはないし、テレビなんかで放送されているものは作り物だと思っている人だ。

いると思っている人は、実際に見たもしくは、テレビなんかで間接的に宇宙人を見てそれを信じた人だ。

しかし、この答えはどちらも間違いではない。

映像は作られたものかもしれない。それも正しい。

それだけではいないとはいえない。


つまり誰も本当のことなどわかっていないのだ。

おれ自身は宇宙人はいると思っている。

まだ宇宙の端がどこなのかも知らない地球人が宇宙人の存在を否定するなんてただの傲慢だ。



そんなくだらないことを考えていると。

ふと前を行く同級生たちの後姿が全員同じ一人の人間に見えてきた。

これだけの人間が同じ道を同じ時間に同じ服装で歩く。

変な光景だ。



人間という生き物は人と自分に違いを見つけなければ自身の存在を確立できない生き物だ。

そのくせ、人と同じように生きたがる。

そこから外れるものを人は軽蔑の目で見る。自分と違う。いや、みんなと違うから。

俺は違ったことをしている人間のほうが立派だと思う。

それこそ、人間だとさえ思う。


でも、そんなことをいいながらも俺はみんなと同じを選んでいる。

みんなから外れないように。

センスがないから。才能がないから。

という言い訳をつけて、逃げている。


そんな倫理の授業のような難しくて答えのないことを考えながら俺はあるいた。




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