小豆色の彼女(融サイド8話)
とうとうこの日が来た。
天気は晴れ。最高気温21度。4月にしてはかなり暑くなりそうだ。
今日はピクニック当日だ。
ピクニックにはしゃいでいる自分がなんだか幼くて、恥ずかしかった。
でもそれもしょうがない。
だって彼女の横にまた座れるんだから。
そう。僕は彼女の隣を勝ち取った。
でも真の勝利とは呼べないものだったけれど。
最初は僕は後ろから2番目、彼女は1番前の座席だった。
でも、僕の隣に決まった女の子が車酔いしやすいことが判明し、前にして欲しいと名乗り出た。
すると真っ先に彼女が手を上げた。
そして彼女は僕の隣にやってきた。
正直この行動に僕は少し期待してしまっている。
彼女が僕に興味を持ってくれているんじゃないかと。
自意識過剰な超迷惑な勘違いだとはわかっている。
でも、どうしてもそう考えてしまう。
僕は彼女は、車酔いしやすい子のために席を替えただけだ。と何度も自分に言い聞かせた。
集合場所は学校の最寄駅のロータリー
学校の前の道は狭く、大型バスは入ることができないからだ。
でも必ずこういう奴がいる。
間違えて学校に行っちゃう奴。
まさか彼女がそんなことになるとは思いもしなかったが。
バスに乗り、彼女の到着を待っていると。
出発時間まで後4分になったころ。
汗だくで走ってくる彼女が見えた。
今日はハイキング。いや登山だから生徒は全員学校していの小豆色のジャージだ。
彼女はそのジャージがまったく持って似合わない。
彼女が「すいません。」といいながらバスに飛び乗ってきた。
そして彼女は僕の隣に座った。
僕はそのあせった顔とジャージのあまりの似合わなさに笑ってしまった。
すると彼女は「ちょっと。なに笑ってんのよ」とむくれていた。
またその顔が面白くて笑ってしまった。
入学式以来の会話がこんな味気ないものになってしまったが、いきなり彼女と話せるなんて好調だ。
それともうひとつ新たな発見。
女の子は汗びっしょりでもいい匂いがする。
女の子は不思議な事だらけだ。