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君色スカイ  作者: 悠太
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プロローグ(融サイド1話)

僕は今大学4年生。

いわゆるMARCHといわれる有名大学の経済学部に通っている。

まあMARCHといえば頭がよく聞こえるかもしれないが、一浪して入ったからそうでもない。

大学では特に何もしていない。

部活もサークルもやっていない。

毎日学校行って、放課後はバイト。

これを繰り返す毎日。

正直言って、つまらない日常だ。

だからといって、今の生活は嫌いではない。

大学には数人の仲のいい友達も居る。

彼女だって居る。

彼女は、同じ大学の同じ学部のひとつ後輩だ。

出会ったのは彼女が入学してきた年の秋。

いきなりアドレスを聞かれて、メールをしているうちに仲良くなって

一緒に遊ぶようになって、告白されて、付き合った。

最初はそんなに好きだったわけじゃない。

でも、特に好きな人も居なかったし、彼女のことを嫌いでもなかったからオッケーした。

というか、僕は告白するより、されて付き合うほうが多い。

特に好きな子ができたことはほとんど無い。

でも告白されると好きでなくてもオッケーしてしまう。

そうして付き合っているうちに、好きになってしまう。

だから、本当にその人が好きなのかよくわからない。

今の彼女もそうだ。

いつも一緒に居るから、好きだって思い込んでいるだけなのかもしれない。

今は4年生。

いわゆる就活中だ。

特にやりたいことがあるわけじゃない。

この大学に入ったのだって、有名だったってだけ。

ここじゃなきゃだめだと思ったことは一度も無い。

学部もそうだ。

経済に興味があるわけじゃない。

この大学の中で偏差値が自分にあっていて、就職がよかったからただそれだけだ。

別に、法学部でも商学部でも理工学部でもよかった。

いろんな人に将来のこと考えろって今まで何度も言われてきた。

でもそんなの考えられるはずが無い。

だって僕は明日のことだって。

いや、10分後のことだってわからないから。

将来なんていう漠然とした未来のことなんてまったく想像もつかない。

でも何もしないわけには行かないので、一様教員を目指すことにした。

なぜ教員かといわれると自分でもよくわからない。

でもたぶん、会社ってのがいやなんだと思う。

上司にあれこれ言われて、毎日毎日休みも無く働く、きっとそれがいやなんだと思う。

それともうひとつの理由は

きっと、僕があのころに戻りたがっているからだと思う。

そういえば、あのころは空を見るのが好きだった。

朝の、一日の始まりを感じさせてくれる朝日

昼の、元気をくれる澄み渡った青空

夕方の、いつもは恥ずかしいことも言わせてくれる真っ赤な夕焼け

夜の、悩み事を吸い取ってくれる星空

全部大好きだった。

でも今は東京のビルや排気ガスのせいか

それとも僕が大人になったせいか

あのころほど、空をきれいだと感じなくなった。

少しずつきれいだった空のことも忘れていっている。

でもあの空だけは、はっきりと覚えている。

君と見たあの空だけは、はっきりと。



あの空を見たのは

毎日が新鮮で、楽しくて、でもちょっとだけ意地悪で、さびしい、あのころのこと。

僕の物語の始まりは、今から8年ほど前。

今まで着ていた詰襟の制服が、紺色のブレザーの制服に変わったあのころ。

君と出会ったのは、その新しいブレザーを着て初めてあの坂を上ってあの校門を始めてくぐった日だ。





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