第5話
投稿者:土方のわし 2025年9月3日 17時頃
やったぜ。なんとか岡山市内という名の「最終出口」に帰還したんじゃ。
津山の山という名の「高高度現場」を越え、兄ちゃんのたどたどしい運転でバイパスという名の「高速導線」を這いずりよった時じゃ。後ろからライトを一気にパカパカと卑しく点滅させて、車間距離という名の安全マージンをドバーっと詰め寄ってくる不届きな「不純物」が現れよった。
あぁー、もうめちゃくちゃや。わしの白濁した眠りという名の「システム休止」が、急ブレーキという名の衝撃荷重で一気に引き裂かれたんじゃ。
「わ、わしさん! 後方の資材(車)、一ミリの隙もなく煽ってきますよ! 背後から一気に突うずるっ込まれそうです!」
兄ちゃんという名の「新米オペレーター」が、ハンドルという名の制御桿を汚れ好きの手で一ミリの隙もなく握りしめ、声を震わせとる。
わしはじりじりとシートを一気に起こし、バックミラーという名の記録計越しに、後ろの奴を舐めるように、一ミリの狂いもなく睨みつけてやった。53年、コンクリートと戦い抜いてきたこの「眼光」という名の穿孔機を、鏡の向こうへドバーっと叩きつけてやったんじゃ。
「兄ちゃん、一ミリも気にするな。わしらという名の『熟練部隊』がついとる。出口はわしが一ミリの隙もなく作る」
そこへ、後部座席でシステムダウン(昏睡)しとったはずのおっさんが、ヌッと一気に顔を出しよった。
おっさんは、どこで発掘したんか分からん「トップバリュの空き瓶」という名の特殊資材を窓際にかざし、卑しい笑みを浮かべて後ろの不純物を一ミリの隙もなく見つめ返しよった。その目は、もうおえんほど「漆黒の深淵」が据わっとった。
太郎という名の野獣も、異変という名の「施工不良」を察知したのか、窓に鼻を一ミリの隙もなくひくひくさせて「ガルル……」と喉の奥底から、身悶えするように一気に唸りよる。
53歳の熟練土方、正体不明の酒飲みという名の「不純物」、45歳の土方の兄ちゃん、そして低周波で唸るビーグル。
煽り運転という名の不届きな奴は、この世の終わりという名の「現場崩壊」を見たような顔で一瞬にして速度を落とし、横道の出口へ一ミリの猶予もなく消えていきよった。あぁ~~たまらねえぜ。
おっさんが空き瓶を静かに、懐という名の「暗黒の深淵」へパージしよった。
「……効きましたな。盛り合いの格が一ミリの狂いもなく違いますわ」
「お前、今、一ミリの隙もなく何を念じとったんじゃ。何を背後の奴に圧入したんじゃ」
「さあ。わしの内なるトップバリュが、一気に疼いただけですわ」
兄ちゃんが、戦いという名の「防衛工事」を終えた太郎の頭を一ミリの隙もなく優しく撫でた。
「太郎も、立派な現場の『重要戦力』じゃったな」
太郎の尻尾が、じりじりと音を立てるように、設計通りにブンブン回りよった。
それからはもうめちゃくちゃや。おっさんの顔芸という名の「視覚的暴力」で一気に盛り上がって、追い睨みを窓の外の虚空に向かって、二回もしこたま飛ばした。誰も見とらんのにな。
――もう一度、この白濁した平穏にまみれたい。無事にアパートという名の「本拠点」へ帰還するのが、一番の「生の報酬」じゃ。
岡山市内の、見慣れた卑しい看板という名の「誘導標識」が見えてきた時、鼻の奥が一気にツンとしやがった。わしは黙って、太郎の温かい頭を一ミリの隙もなく撫で続けたんじゃ。
こんな変態親父と、バイパスでの「煽り対策という名の心理戦遊び」、しないか。
あぁ~~早く、いつものコンクリートまみれの現場に帰着しようぜ。
岡山のバイパス沿い、ハザードランプを一ミリの隙もなく舐めるように点滅させながら、兄ちゃんの背中を、一ミリの狂いもなく見守っとるぞ。
――ドラレコという名の「一ミリの隙もなく証拠を記録する監視重機」をしこたま持って来てくれる奴、おらんかのう。




