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プロローグ-花の散る日-
帝国暦、某年。
広場は静まり返っていた。
歓声も怒号もない。
ただ、見届ける視線だけがある。
石造りの処刑台。
鎖に繋がれた少女が一人。
その名を、誰も口にしない。
罪状は「反逆罪」。
帝国に仇なす思想を抱き、
帝国の秩序を乱そうとした者。
ざわめきが走る。
やはり――反逆者だったのだ。
兵が剣を掲げる。
少女は抵抗しない。
ただ、どこか遠くを見る。
その視線の先に何があったのか、
誰も知らない。
刃が振り下ろされる。
血が落ちる。
花が散る。
その日、帝国は宣言した。
第二王女は死んだ、と。
黒薔薇はここに散った、と。
――しかし。
海は、すべてを呑み込む。
そして時に、還す。
⸻
荒れた海岸に、ひとりの少女が打ち上げられている。
息はある。
だが、瞼は閉じたまま。
その手には、何も握られていない。
名も。
記憶も。
ただ、温もりだけが残っている。
⸻
「黒き花は名を持たず」
物語は、ここから始まる。
邪神山阿波男です。
初めての連載投稿という事で拙い内容になるかとは思いますしが、優しい目で見ていただければ幸いです!




