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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第一章 転生してスローライフ

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9 集落の今

 行商のシャムたちが帰った後も、集落は賑わったままだ。

 集落に残ったソマリの店も繁盛しているようで何よりだ。それになぜか分からないけど、小型女神像を大量に買い取ってくれるようになっていた。


「シャム会長から大量に仕入れるように指示があったのニャ。噂では金貨1枚で売っているらしいニャ」


 そんな高額でどうやって売っているのだろうか?

 あくどい商売をしてなかったらいいけど・・・


「シャム会長はああ見えて、あくどい商売はしないニャ。多分画期的な売り方を見つけたのニャ。私も早くシャム会長に追いつきたいニャ」

「分かったわ。それはそうと、ちょっと銀貨が多くない?」

「シャム会長から、女神像は倍の銀貨2枚で買い取るように指示されているニャ。今後ともご贔屓にとのことニャ」


 相当儲かっているんだろうな・・・


 神殿はというと、連日住民が賽銭箱に銀貨や銅貨を入れてくれるので、お金に困ることはない。

 かといって、使い道もあまりないので、新たに神官を3人雇用することにした。ゴブナ、ゴブネ、ゴブノ三姉妹で回復魔法の適性があるという。ただ、ゴブリナほど上手くは使えないので、今までは集落の事情もあり農業などをしていた。ゴブリナが言うには育成に時間が掛かるので、集落に余裕がなかったことがその原因らしい。


 彼女たちはゴブリナから指導を受けるとともに神殿の運営なんかを手伝ってくれている。

 社会貢献ができて、本当によかった。ただ、パンツスーツを身に纏い、ゴブリナの話を真剣に聞く彼女たちを見ると、第二第三のゴブリナが生まれないかと心配にはなる。


 また、ゴブリナのたっての希望で、神殿を立て直すことにした。資金はあるし、公共事業の一環と考えれば、あながち悪い施策ではない。ダークドワーフやハーフドワーフが腕の見せ所だと張り切って作業してくれている。彼らと一緒にオークの四人家族も力仕事を手伝ってくれている。


「気合いを入れるッス!!女神ネフィス様に恥ずかしくない神殿を作るッス!!」


 ダークドワーフやハーフドワーフに指示を出しているのは、ダークドワーフの少女フリンだ。

 ドワーフの伝統で、年齢や性別に関係なく、鍛冶や物づくりの腕で長を決める風習があり、彼女がまとめ役をしているようだ。


「フリン、あまり無理しないでね」

「ありがとうッス、聖女様。でも冬までには完成させたいんッスよ」



 最近私は、帰らずの森にグリューンやダークエルフと共にキノコや薬草の採取に行くことが多い。

 備蓄食料を確保する目的の他に私のスキルを使って、必要な薬草やキノコを人工栽培できないかと考えてのことだ。というのも、最近「品種改良」というスキルを習得したからだ。これは現存する植物を品種改良するというもので、実験的にやってみようということになった。

 失敗しても大して影響がないから、気楽に考えている。

 それにしても、ダークエルフたちの知識には感心する。私が褒めると、ダークエルフのまとめ役であるダークは自嘲気味に言う。


「聖女殿はそう言われるが、大したことではない。ハイエルフには遠く及ばない」

「そうなんですか?私は凄いと思いますけど」

「多少なりとも役に立てたなら、嬉しいかぎりだ。我が教えられることは全部教えてやる」

「よろしくお願いします」


 ここに来た時のことを考えると、ダークエルフやハーフエルフともいい関係が築けていると思う。最初は露骨に私のことを避けていたからね。

 これには訳があるらしい。ダークエルフとハーフエルフはハイエルフにも人間にも受け入れてもらえなかった歴史があるからだ。今でも多くのハーフエルフが奴隷として扱われているという。

 できれば、彼らのことを救ってあげたいが、それよりもまずはこの冬を越すことが当面の目標だ。



 すっかり忘れていたけど、赤ドラと白ドラはというと冬に備えてオガクズを集めている。

 色々な木の粉をブレンドして、独自の配合を工夫しているようだ。私には全く違いが分からないけどね。


(香りを重視して・・・)

(それよりも肌触りだよ)


 二人は真剣に悩んでいるようだが、私には平和な微笑ましい光景にしか見えないけどね。



 ★★★


 段々と肌寒くなって来た頃、事件が起きた。

 30人程の別集落に住むゴブリンたちが助けを求めてやって来たのだ。グリューンが対応し、怪我人をゴブリナたちが治療している。


「グリューン、大変な時期に恥を忍んで頼む。どうか我らを保護してくれ」

「それは構わんが、何があったのだ?ゴブゾウの集落は比較的食料には困っていなかったと思うが?」

「それは・・・」


 代表者のゴブゾウの話を聞いて、一同が絶句する。


「グレートボアの群れに襲われただと!?」

「ああ・・・だから、着の身着のまま逃げてきたんだ。今頃、一生懸命に備蓄した食料を食い荒らしているだろうよ」

「分かった。とりあえずは休め。明日対策会議を開く」

「ほ、本当にいいのか?30人分の食料なんて用意できるのか?」

「心配するな」


 とりあえず、ゴブゾウ以下30人のゴブリンたちは、建設中の神殿に住んでもらうことになった。

 建物の立派さに驚いていたが、更に料理を持って行った時は、腰を抜かす程驚いていた。


「一体、この集落はどうなっているんだ!?」

「こんな美味しい物を食べたのは、生まれて初めてです」

「もしかして、ここは天国なのか?」


 そんな中、ゴブリナが彼らの前に立って、いつもの調子で話し始めた。


「この集落に奇跡が起こったのは丁度・・・」


 ゴブゾウたちは、真剣にゴブリナの話を聞いている。

 多くの者が目に涙を浮かべている。


 こうやって、洗脳されていくんだね・・・


 半分以上が私の誇張した奇跡の話だったので、私は居たたまれなくなって、そっとその場から立ち去った。

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