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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
最終章

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68 視察へ

 毎年恒例の視察が始まった。

 どの集落も緊張感が漂っていると思っていたが、そんなことはなかった。いつも通り、盛大にもてなされる。ただ、視察の項目に訓練の確認が含まれている。今も目の前で真剣な訓練が繰り広げられている。


 ボアタウンの族長ゴブゾウの号令で訓練が始まった。


「訓練開始!!」


 勇者と書かれたプラカードを持ったゴブリンが里に入って来る。

 それを見た訓練員が大声を上げる。


「勇者が来たぞ!!」


 ゴブゾウが避難を指示し、戦闘部隊が足止めを行う。それに合わせて狼煙を上げ、大鷲族の獣人が付近の集落に知らせに行く。

 今回の訓練のメインは非戦闘員の避難と連絡体制の確認だ。なので、戦闘訓練はしない。その後、籠城する施設の物資の確認をして、訓練は終了となった。

 グリューンがゴブゾウに言う。


「流石だな。練度が高い」

「実際に俺たちは、同じような体験をしているからな」


 今でこそゴブゾウたちは普通に生活をしているし、仲良く暮らしているけど、グレートボアの襲撃に遭ってスズキタウンまで逃げてきたからね。


「それに訓練後は反省会という名の宴会をしているからな」

「うむ。いい考えだ。早速、我らも取り入れよう」


 そこからはいつも通りの宴会が始まった。



 そんな感じで各集落を巡っていく。

 リザードマンが多く住んでいるドラゴンズホームなんかは、いつも通り熱烈な歓迎を受け、ヨルが「しっかり訓練するように」と指示するだけで、サボる者は誰もいなかったしね。

 国内の集落を周った後で、ドワーフ王国にも外遊する。

 ドワーフ王国では城壁に新型のバリスタや投石機が多数配備されていた。ドワンド王が言う。


「こっちはこの城壁を最大限活用した防衛戦術だ。元々危機があれば籠城するのは伝統だからな。よければ、防衛力の弱い集落にバリスタなんかを格安で配備してやってもいいぞ」

「それは有難い。早速、連絡を取ることにする」


 ドワーフ王国の視察が終ると、獣王国からもお誘いがあった。

 全ての里は周れないので、獅子族の里にだけお邪魔することになった。喧嘩が起きないか心配だったが、毎年持ち回りで視察を受けることで話がついているという。一番嬉しがったのはヨルだった。


「ヘビさんに会えるから嬉しいよ。今度会ったら、勇気を持って提案しようと思うんだ」


 告白でもするのかと思ったが、そうではなかった。

 獅子族の里でマンティコアの尻尾のヘビに「一緒にドラゴンとして活動しないか?」と提案していた。


「今の状況では、この里付近を離れられんし、勇者の問題が片付いたら考えてもいいぞ」

「じゃあ、楽しみにしているよ。同じヘビ同士、ドラゴンとして頑張っていこう」


 ヘビなのにドラゴンって・・・


 そんな話は置いておいて、訓練は見事なものだった。

 各種族の威信が懸かっているみたいで、種族ごとの統制は取れているようだった。グリューンも評価する。


「見事だ。我ら神聖ネフィス教国が危機の際は救援を頼むぞ」

「もちろんだ。神獣様に誓って駆けつけよう」


 こちらも問題なく視察が終り、私たちはスズキタウンに帰還することになった。


 ★★★


 そして私たちの最後の視察先は、グリューンたちの故郷ネフィスタウンだ。

 今回はケンタウロス族とアラクネ族の住民が大量に視察に同行する。足が8本あるスレイプニルという馬の魔物と大きな蜘蛛の魔獣であるキラータランチュラがネフィスタウンにやってきて、住み着いているからだ。

 情報によると、意思疎通ができて知能も高いようだ。現地ではすでに神獣扱いされているという。


 ここで問題になったのは、神獣の認定だ。

 誰がどういった形で認定するかが問題になった。会議開始5分で宴会を始めてしまうような魔族たちが、そんな細かいことまで気が回るはずがない。結局、私が面接して認定することになった。ケンタウロス族とアラクネ族の盛り上がりを考えると、余程危ない魔獣でなければ認定せざるを得ないだろう。


 族長のタリアスを筆頭にネフィスタウンに近づくにつれて、そわそわし始めたしね。

 グリューンも気を遣って言う。


「タリアス殿、アラクネたちも連れて先に神獣の所に行ってはどうだ?我らは領主殿との挨拶があるからな」

「うむ。では遠慮なくそうさせてもらう。皆の者続け!!」


 ケンタウロスとアラクネたちは、猛スピードであっという間に町に駆けて行った。


 私たちも遅れて町に入ると、以前に比べて大発展している。

 人口も増え、領主館や神殿も立派になっていた。領主であるレイモンド辺境伯とレッドさんたち「シーカーズ」のメンバーが出迎えてくれる。


「ようこそお越しくださいました。早速、町をご案内致します」

「うむ。それにしても発展しておるな」

「それもこれも、全て聖女様や魔族の皆さんのお陰です」


 視察してみると本当に発展している。

 商人のゴールドさんが詳しく解説してくれる。


「交易は順調です。こちらの商品は帝都では10倍の値がつく商品もあり、色々な商会がこぞって支店を出しております。なので、帝国有数の都市になる日も近いですね」


 グリューンやゴブリナたちも、町の発展を喜んでいるようだった。


「ネフィス様、感謝いたします。早く神殿に行って祈りを捧げたいです」

「この後すぐにご案内します。神殿には神獣様も待機しておられますからね」


 私たちはレイモンド辺境伯の案内で、神殿に向かった。

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