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秘密の報告書  作者: 藤岡
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12月24日

光司……いや、流星。

誕生日おめでとう。


今はまだあまり理解していないかもしれないけれど、もう少し大きくなればきっと理解することになるだろう。

その時初めて俺を殺したいと思うかもしれないし、教団員を殺したいと思うかもしれない。

もしかすると、俺には言わなかった、言えなかっただけで、既にそういう感情は芽生えているのかもしれないな。


初めて会った時のことは忘れていてほしい。

思い出すならそうだな……出会ってから数日後辺だろうか。

一緒に文字の読み書きをしたな。

覚えが早くて驚いたよ。

文字も書けば書くほど上手になっていった。

きっと、同世代の子達の中でも一番読み書きが出来て丁寧な文字を書けるだろう。


流星は絵を描くのが好きで、暇さえあれば何かの絵を描いていたな。

あまり見せてくれないから、俺は最後まで流星がどんな絵を描いていたのか分からないんだけど、俺の顔を描いて見せてくれた時、すごく嬉しかったよ。

流星だから見ることが出来る角度で描かれた俺は少し美化されていたような気もするけど、とても上手に描けていたよ。


体力作りといってボールを使ったり縄跳びをしたり走ったり、たくさん体を動かしたよな。

走れる距離が伸び、跳べる回数が増え、ボールも見失うほどに遠くへ蹴飛ばせるようになった。

実は夜、流星が眠っている間に何度かボールを探しに行ったんだけどやっぱり見つからなかったよ。

みつけてあげられなくてごめんな。


何事も諦めようとはせず、真摯に取り組むその姿は、俺からすればとても輝いていたよ。

これからも、目を瞑りたくなるほどの輝きを放ちながら真っ直ぐと自分の信じる道を突き進んでほしい。


だけど、その道が正しいのかどうかはすぐには分からない。

途中でもいいし、終着地点が目の前だとしても、間違いだと気付いたら恐れることなく正しい道を探しに行くんだ。

そこは突き進んじゃいけないよ。


俺は、もっと違う形で流星と出会いたかった。

だけど、そうなると今の俺と流星の関係は築けなかったかな。

それはそれでいいんだけど。


俺はね、ずっと他人の幸せだけを願って自分を犠牲にして生きてきたんだ。

それを間違いだとは思っていなかった……と言えば嘘になるんだけど。

でも、疑わないようにして生きてきたんだ。

間違った道を自ら突き進んで行ったんだ。

だけどね、流星と出会ってから俺は目が覚めたんだ。

ずっと暗闇の中で目を閉じていたんだけど、そこに光が差し込み新しい道を照らしてくれた。

流星にはとても感謝しているよ。


他人の為に自分を犠牲にして生きてきた人生なら、最後までそれを貫こうと思った。

今更自分の幸せを願うなんて出来ない。

俺はそれが許されないほど、人を踏み台にしてきたから。

数多の骸が俺の足元で俺の名を呼び続けている。

そんな状態で自分の幸せなんて願えない。


でも、流星と過ごしたこの数ヶ月はとても幸せだった。

手離したくないと思えるほどに幸せだった。

自分の幸せは願えないと言ったけれど、流星が幸せなら俺も幸せだ。

流星は優しいから自分の幸せを願えと言うだろう。

ならそれを流星が叶えてくれないか?


俺がいなくても大丈夫。

幸せになるんだ。

幸せがどういうものなのかっていうのは上手く説明できないけれど、ふとした時に幸せだなと思えればそれで良い。


もう、辛い思いはしてほしくない。

どの口が言っているんだと怒るかもしれないな。

本当に申し訳ない。


俺の人生はくだらないものだった。

最後の数ヶ月だけが光り輝き宝物になった。

それ以外は今思えばドロドロとした泥水のようなものだったな。


流星。

誕生日にこんな思いはさせたくなかった。

一緒にお祝いしたかった。

毎年誕生日を迎える度に思い出してしまうんじゃないか?と、とても不安だ。

ごめんな。本当に、ごめん。


流星は誰よりも幸せになるんだ。

そして、俺のことは忘れてほしい。

最後まで頼りなくて本当にごめんな。

こんな守り方しか考えられない馬鹿でごめん。


あと少しでお別れだ。

寂しい。


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