02月07日
深夜十時。
俺と仲間は車に乗り込み拠点より更に奥へと続く山道を走っていた。
運転席には仲間が、俺は助手席に座り、後部座席には二人の仲間と一人の信者。
信者は挟まれるようにして座っており、口にはガムテープが貼り付けられていた。
手足は拘束され自由に身動きは取れない。
これから自分の身に何が起こるのか、きっと想像出来たのだろう。
はっきりとは聞き取れなかったがきっと「助けて」「ごめんなさい」「許して」といった類の言葉を発していたのだろう。
それに対して誰かが返答することは無い。
地面が擦れ砂が飛び散る音と、不気味な鳥の声が聞こえるだけ。
俺がこの信者の立場なら……どうだろう。怖いかもな。
でも、自分がやった事がきっかけでこうなっているんだ。
責めるべきは自分自身であり、教団では無い。
成人男性、自分で物事の判断くらい出来るだろう。
数分走らせ到着した場所は、教団員以外は来ることが出来ない場所。
周りには勿論誰も居ないし、そもそもこの山自体教祖様のものなので、誰かが住み着いていればそいつはその場で消さなくてはならない。
この場所には小さな山小屋が一つ建っている。
俺と一人の仲間はその山小屋へ、残りの二人は信者を連れて土が禿げた場所へ。
俺は仲間に言われた道具を手に外に出る。
寒いから早く帰りたい。
道具を運び、俺は車へと戻る。
暖を取りたかったんだ。手が悴むと上手く動かせないだろ?
もう一人の仲間が小屋から椅子を運び出してきた。
もう随分とボロくなったな。
足の長さが不揃いでガタガタとしている。
すぐにでも転げてしまいそうなその椅子に座らされ体を縛り付けられる信者。
口元のガムテープを剥がされると体を大きく動かし、やっぱり「助けて」とか「許して」とかって叫んでいたな。
この男は元々熱心な信者だった。
だが、急に態度が素っ気無くなり、顔を出す頻度も下がった。
上層部からの命令で男を監視する事になった仲間からの報告によると、数日に渡って何度も会っている男がいるとの事だった。
喫茶店に入った二人は何かを話しており、テーブルの上には録音機が置かれていた。
仲間が調べると信者である男と話していたのは記者だったという。
録音機を取り上げ再生すると、活動内容を細かく話していたようだ。
別に話すこと自体は悪いことでは無い。
それを聞き同じように活動したい、そう言う相手ならば。
だが、今回は駄目だ。
相手からもこの男からも汚い金の臭いがする。
だからここで絶たなくちゃいけない。
最期は皆教祖様の力となる。
力になる為に必要なのは、その人間の全てだ。
高値で売れるものは売ってしまおう。
その金で助かる命が沢山あるからな。
血肉は新鮮なうちに調理しよう。
これは教祖様しか得ることが出来ない。
我々は皆、教祖様の血となり肉となるのだ。




