12月17日
門を潜り左右に広がる庭。
真正面には玄関扉。
玄関扉から左側には信者が集まる広間があり、右側はトイレが三つある。
正面右側の扉を開くとそこにあるのは応接間だ。
正面左側にある扉を開くと俺たちや教団員の部屋に行ける。
左右の扉の間にある廊下を歩いて少し行った右側には浄化部屋がある。
壁に付いた小さな取手を引くとスイッチがある。
押すと氷のように冷たい水が降ってくるので注意だ。
浄化部屋からまた少し先に行くと医務室がある。
教団の専属医がいて、教団員や信者の治療はここで行う。
医務室の隣にはカメラ部屋、つまり監視カメラで監視をする部屋がある。
道を戻り俺たちの部屋へと続く扉を開くと真っ直ぐ行く道と左に行く道がある。
真っ直ぐ進むと右側に風呂場がある。
大きな風呂は銭湯のような造りで、教団員たちはここで血と汗を流す。
風呂場を通り過ぎ真っ直ぐ行くと食堂があり、食事はここで済ませる。
朝礼が行われるのも大体ここだ。
道を戻り左側に続く廊下を進むとすぐ左側に俺と光司の部屋がある。
広間の真後ろだな。
部屋の前を通り過ぎるとすぐに右に曲がることになるだろう。
そこに並ぶいくつかの扉は全て教団員の部屋だ。
一室に二人から三人ほど、場合によっては五人位が住んでいる。
俺もどの部屋に何人いるのか把握はしていない。
教団員の部屋を通り過ぎると他の部屋より大きな扉がいやでも目に入るだろう。
ここは教祖様の部屋だ。
一番広い部屋で壁が分厚い。
防音にすればいいのにとも思うが、それは浄化部屋だけ。
教祖様の部屋の前に左と右にちょっとした空間がある。
右側には花瓶やら壺が飾られていて、左側には扉がある。
その扉を開くと一瞬にして空気が変わるだろう。
暗い道の中に浮かぶ階段を下っていくと地下に到着する。
異臭を放ち異様な空気を醸し出す地下は、初めて行く者は吐き戻してしまうだろう。
いくつか並んだ牢の中に繋がれているのは協力者だ。
その日が来るのをここで待っている。
地下に入りすぐ左側には地下を掃除するための道具が揃えられている。
牢の前を通り過ぎ正面奥にある扉を開くと教団員の浄化部屋がある。
様々な道具があるが、これは全て教団員に使われるものであり協力者に使われることは無い。
ああ、そうだ。一つ注意してほしい。
協力者に取り付けられている拘束具は緩い。
外そうと思えば簡単に外せるんだ。
でも、待ち伏せの心配はいらない。
牢が並ぶ場所と階段の間には鉄格子と鍵付きの扉が設置されている。
やつらが脱走、つまり裏切り行為をする事があるのだが、どうやって逃げ出すんだ?と疑問に思うだろう。
牢がある場所には教団員の浄化部屋とはまた別の扉がどこかにあるんだ。
それは外に繋がる扉。
それを探し出したやつは牢から逃げ出し、そして捕まる。
これは教団からの試し行為であり、逃げ出される事を前提に作られたトラップのようなもの。
この敷地全体には監視カメラが数え切れないほどに設置されているから、すぐに見つけ出すことができるし、そもそもこの扉を開き一歩でも踏み出そうものならカメラ部屋に警告音が鳴る仕組みだ。
それを協力者は知らない。
逃げ出せたと喜べるのはほんの数分間だけだろう。
教団員の浄化部屋の中。
奥の方に扉がある。その扉を開くとまた地下へと繋がる道が姿を現すだろう。
その先に続くのは別館の地下だ。
別館の地下はこんな牢などは無く、扉を開くとすぐに階段が目に入る。
その階段を進みまた扉を開くと地上に出るんだけど、出てすぐまた扉がある。
その扉を開くと一階の広間に出るんだ。
左右に階段が設置されているが、辿り着くのは同じ中央地点。
どちらから進んでもその先の道は一つしかない。
右側に風呂、左側にメイクルームというのか?身支度をする部屋があって、中央は応接間のような広々とした小綺麗な部屋がある。
一階にはトイレとソファがいくつか置いてあるだけで他には何もない。
勿論ここも監視カメラが設置されている。
孤幸教は主にこの二つの建物と、そして別館からまた少し先にある山小屋を使用する。
山小屋の方はあまり人は来ない。
使用する時は男の協力者がその日を迎えた時と、上からの命令で誰かを処分する時。
それ以外は誰も寄り付かない。
単純に面倒なんだ。
道は複雑で、車一台通るのがやっとの広さ。
山小屋の周りは柵で囲われていて、乗り越えようと思えば可能だが、有刺鉄線がそれを阻止する。
勿論ここにもカメラは付いている。
扉には何重にも巻かれた鎖と南京錠。
南京錠の鍵はカメラ部屋にある鍵が保管されているボックスから取り出さなければならない。
山小屋の中は質素なものだが、それなりの道具が揃っている。
山小屋のすぐ横には穴を掘る重機やらなんやらがあるが、これも鍵を使わないと動かすことが出来ない。
多分全て書き出せただろう。
見落としは無いはずだ。
孤幸教は多分世間が思うよりももっと強大な力を持っている組織。
人は皆幸せにだとかなんだと言っているが、実際は教団の幸福だけを、教祖様の幸福だけを願う組織なんだ。
俺もその中の一人だ。




