11月26日
仕事を済ませ光司が待つ部屋に戻ろうとした時、浅賀が声をかけてきた。
「なにか悩み事ですか?」と聞かれ俺は素直に答えた。
浅賀は、「もう立派なお父さんですね。お兄さんの方がいいかな?」なんて笑いながら言ってきたが、俺は真剣に悩んでいるんだ。
茶化すだけなら用は無いと一歩踏み出した時、「私が聞いてみましょうか?」と言われ立ち止まる。
俺が聞き出せないのに浅賀が聞き出せると?
俺は無理だろうと思ったが、もしかすると聞き出す方法を知っているのでは?と思い直し頼むことにした。
「聞き出せるという自信はあるのか?」と聞くと浅賀は「任せてください」と答えた。
こいつもしかして手紙を読んだんじゃないだろうな?と疑ってしまうほどに自信に満ち溢れた顔をする浅賀は、「聞き出せたら教えますけど一つ約束してください。」と、真剣な眼差しを向けてきた。
「約束?」と聞くと、「自分のことも大切にしてくださいね。」とだけ言い残し光司が待つ部屋へと向かって行った。
突拍子も無く言われた言葉に俺は呆然と立ち尽くしてしまった。
流れが掴めなかったんだ。
どうしてそんなことを急に言われたのか、理解できなかったんだ。
数分して浅賀が戻ってきた。
「聞き出せたか?」と聞くと浅賀は頷きこう言った。
「坂城さんは何も用意しなくていいです。私が用意しますから。」と。
浅賀は俺の言葉を待たず走って行ってしまった。
本当に意味が分からないし、モヤモヤする。
どうして俺には言わないのにあの女には話したんだよ?と思うのはなんだ?嫉妬か?
部屋に戻ると光司は何事も無かったかのように絵を描いていた。
「光司、サンタには何を頼んだんだよ?」と聞いてみたが、光司は口の前に指を持っていきバツマークを作った。
話したくないのならそれでもいいけど、なんだか少し寂しいな。




