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秘密の報告書  作者: 藤岡
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10月25日

朝起きて、着替えてから顔を洗って歯を磨く。

朝飯を食って朝礼を済ませ持ち場へと向かう。

その日の仕事をこなした後は夕飯と入浴。

直ぐに寝る時もあれば、読書を楽しむ時もある。


そんな日々を何年続けただろう。

最初のうちは中々眠れなかったな。

俺の手で奪った魂の叫びが耳にこびりついて寝かせてくれなかったんだ。

力無く尽きた人間を処理する時間は苦痛だった。

医者でも無いのに人間の臓器を見た事もあるし、血の臭いはもう嗅ぎなれてしまった。


人を殴った時、自分も痛みを感じるのだと知ったあの時。

どうして自分も痛い思いをするのにそれでも他者に暴力を振るい続ける人間がいるんだ?と疑問に思った。


人は思ったよりも頑丈なのだと知ったあの時、残酷だなと思った。

気を失ってしまいその間に絶命するのが一番楽なのかもしれない。

だけど、すぐに叩き起され現実へと引き戻されてしまう。

想像を絶する痛みと苦しみを味わいながら息絶えるのだ。

絶望という言葉はこういう時に使うのだろう。


多くの者の悩みや相談を聞いてきた。

歳を重ねるにつれて人の悩みに対して深く考えるようになった。

どうしてこの人はそういった言動を取ったのか?とか、どうして相手はそうせざるを得なかったのか?とか。

答えは分からないままのことの方が多いが、一つだけ分かったことがある。

人は共感を求めた時に話すという事だ。

理解していようとしていまいと関係無く、ただただ共感し味方になってほしいのだ。

後押しを求める人も、最初から自分の中で答えが出ている事が多い。

わざわざ人を巻き込んでその道を正解だと思い込みたいのだろうか。

よく分からないが、信者にはそういう思考の人間が多いように感じる。


俺は教団員になりたくてなった訳じゃない。

教団員になるか死ぬかの二択だったんだ。

それも、自分でどちらかを選択することさえ許されなかった。

実質教団員になる道しか与えられなかった。

その道中で息絶えたとしても、誰かが悲しむわけでもなく淡々と処理をされて終わっていただろう。

俺はその程度の存在でしか無かった。


今までしてきたことを許してほしいとは思っていない。

きちんと罰せられるべきだと思う。

だけど俺はまだ教祖様や教団を売ることはできない。

どんな形であれ衣食住を与えてくれた恩人だから。

だから、俺は死ぬその時まで教団員であり続ける。

普通なら逃げ出すのだろうか?

どうなんだろう。



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