10月16日
俺の中での光司という存在はとてつもなく大きなものになった。
正直最初は、可哀想だな。と思っただけだった。
殺されてしまえばそれはそれで仕方がないと思っていたし、生きて出られたとしても教団員として生きなければならない。
教団員として俺の前に現れた時は、俺もこいつの過去の事を忘れて接しよう。
そう思ってたんだけど、どうしてだろう。
最初に会ったあの日から頭の片隅に光司の存在があったのかもしれない。
昔の自分を見ているような、そんな感じだ。
客観視することなんて無かったし、しようとも思ったことはなかった。
だけど、自然とそういうふうに見ていたのかもな。
俺は光司のように眩しい太陽のような笑顔を見せる人間じゃない。
どちらかと言えば真逆に位置するだろう。
だけど、重なって見えるというか、光司のすぐ後ろに俺の影があるというか。
教祖様が満ちることが教団員の幸せ。
教団の発展と教祖様の力が増すことが俺たち教団員の幸せ。
教団員の命は教祖様の為にある。
最後まで生き残るのは教祖様であるべき。
これが教団の教えであり、俺が光司に教えこまなければならないことなのだが、俺はまだ教えていない。
教えずともなんとなくは察していそうだが、どうだろう。
光司に聞いたこともなければ、そういった類の話をされた事もない。
俺は、これからもこの教えを光司に話すことはないだろう。




