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秘密の報告書  作者: 藤岡
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10月01日

朝礼の時、教祖様はこう仰った。


今年も残り二ヶ月となった。

今年の十二月三十一日、大晦日の日。

例年通り信者を集め宴を行いそのまま年を越す。


孤幸教は毎年大晦日という忙しくゆっくりとしたい日に人を集め騒ぐんだ。

教団員は楽しめない。

料理や酒を運び、介抱しなければならないからな。

年越し三十分ほど前になると教祖様から今年一年の振り返りと、我々に対する労いの言葉をいただく。

そして年を越すとまた酒盛りが始まる。

たまに幼い子供を連れてくる信者がいる。

眠りたくても騒がしくて眠れず不機嫌になり泣いてしまう。

そんな子供の面倒を見るのも教団員の仕事だ。

厚着をさせ庭に連れ出し泣き止ませ、眠るまで体を揺らしてやる。

そして中に戻るとまた目を覚まし泣き始める。

正直、帰れよ。と親に言いたいが、親は酒を呑み楽しげに笑っている。


信者が教祖様と長時間顔を合わすことが出来るのは、大晦日位か。

教祖様はこの日、部屋に戻ったり別件で外に出たりはせずずっとこの広間にいるんだ。

信者達は自分の子よりも教祖様との対話を優先する。

まあ、信者なのだからこれが普通なのかもしれないな。

といっても大晦日に顔を出す信者はどちからと言えば過激というか熱狂的というか。

教団に貢献しようと奮闘してくれるのは有難いが、大晦日の日だけはとても鬱陶しい。


こうして子を放置するだけではなく、酒が入り教団員に絡んでくるやつが多いんだ。

今年はどれだけの貢献をしただとか、仕事のこれがどうのこうので辛いとか、妻が夫がどうのとか。

忙しくしているのがお前の目には映っていないのか?と聞きたくなる。

それでも俺たち教団員は信者を蔑ろにせず話を聞かなくてはならない。

俺は年末が嫌いだ。


こたつに入りみかんを食べながらテレビを見て過ごす。

だいぶ前に読んだ本に書いてあった。

俺もそんなゆっくりとした年末を過ごしてみたかったな。

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