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秘密の報告書  作者: 藤岡
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08月31日

今日で八月が終わる。

外に出ればまだ汗が流れるほどの強い日差しを浴びるが、気付けば暑さを感じさせる鳴き声は聞かなくなったな。


光司とこうして過ごすことになってまだ数ヶ月。

だけどもう何年も一緒にいるかのような気持ちだ。


あんなことが無ければ俺は今も光司と出会っていなかっただろう。

あんなことが無ければ俺は今も浮かび上がる疑問を振り払うようにして自分に大丈夫だと言い聞かせ続けていただろう。

あんなことが無ければ光司は今頃家族と笑って過ごしていたのだろう。

あんなことが無ければ光司は今も普通に話していたのだろう。

あんなことが無ければ光司は痛い思いをせずに暮らしていけただろう。


何がいけなかったんだろう。

光司の父親が教団と関わったから?裏切ったから?

いや、違う。

そもそも、こんな教団が存在する事が間違いなんだ。

裏切ったから殺してしまうなんて、どう考えても良くない事なのにどうして俺は疑わずに生きてこれたんだ。

疑いはしたか。間違いだろうと思ったことはあったな。

だけど、これが普通で当たり前なんだと言い聞かせたんだ。

俺が俺自身に言い聞かせてきたんだろ。

そうしなきゃ自分を保てなかった?

そうしなきゃ今までの自分を否定するようで嫌だった?

それは、数多くの犠牲を出してまで守らなきゃいけないものだったのか?


俺一人が刃向かったところで何も変わらない。

俺はその場で協力者よりももっと酷い目に遭って命を落としていた。

結局俺は、俺一人がなにかした所で何も変わらないからと目を逸らしてきただけだ。


俺はもう既に枯れている。

花とも呼べぬただの雑草。

どれだけ水を与えようと、肥料を与えようと、枯れた葉は元には戻らない。

虫に齧られ穴だらけの枯れた雑草。

元には戻らないんだ。

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