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秘密の報告書  作者: 藤岡
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08月11日

今日は一人の信者と話をした。


どれだけ暑くても、寒くても、雨の日も、雪の日も、我々は働きに行かなければならない。

と、信者は疲れきった顔をして俺に話してきた。

五十代未婚の男だ。

一度は結婚を経験したが、元妻は他の男を選んだという。

週に五日から六日の労働。

朝早くに家を出て夜遅くに帰宅する。

妻の顔では寝顔を見た回数が一番多かったと思う。と言っていた。


満員電車に乗ればなるべく女性の近くには立たないようにしている。

女性に話しかけなければいけない時のストレスは尋常では無い。


と言うので、どうして?と聞くと男は驚いたような顔を俺に向けた。


痴漢をしたと言われないようにするためですよ。

話しかけただけでセクハラだパワハラだと騒がれるから気を遣うんです。


していないのであればしていないと言えばいいだけだし、セクハラやパワハラを受けた人間はそう簡単に騒がないだろう。

自分の都合の良いように被害妄想を膨らまし騒ぐ馬鹿なんて放っておけばよくないか?


と言うと男は、坂城さんはそういう経験が無いから……と呟いた。

俺は孤幸教で育ちそのまま働いているから他の仕事の経験は無い。

電車に乗ることも滅多に無いから疑われようがない。


痴漢に遭った人間の中にはそりゃ自ら声を上げ犯人の腕を掴み吊し上げることが出来るやつもいるだろうが、大体のやつらは声を上げられないんじゃないか?

だから、人が助けてくれるのを待ったり、携帯画面に文字を打ち助けを求めるやつが多いんじゃないのか?

相手がどんな見た目をしていて、単独なのか複数なのかの判断も難しい。

怯えて声が出ないのは普通だ。

そんな中で声を上げ、していない事をしてきたと言う馬鹿なんて相手が折れるまでしていないと言い続ければいいだろう。

何を怯える必要がある?

怯えた態度を見せた時、相手は目を光らせてくる。

だから、そんな目をする前に潰しておかなくてはならない。

毅然とした態度で対応すればいいだろう。

やっていないという証拠が無いと言われれば、俺がやった証拠はどこにあるんだ?と問い詰めればいい。

人の人生を狂わそうとする虚言者に対して怯む必要はない。

時間も金も奪われ、尊厳さえ踏みにじられて悔しいと枕を濡らして終わるのか?

それが、普通なのか?


セクハラだのパワハラだの、なんでもハラスメント化するのが普通らしい。

信者からも上司や同僚、友人からなんたらハラスメントを受けるといったような話を何度か聞かされたことがあるが、半分くらいは自分の都合の悪い部分を隠し相手を陥れ一緒になって文句を言ってほしいという邪悪な心が読み取れた。

実際セクハラに遭った信者は心を病み異性恐怖症になってしまっていたり、自傷行為に走ったりしていたし、パワハラに関してはその話をして帰る途中で自死の道を選んだりとやはり心を病んでいた。

精神的苦痛にレベルは無いが、少し言われた程度で騒ぐのは騒いだやつのこの先が不安になる。

それも、飯に誘われただけでセクハラだとか、叱られるべき内容を言われただけでパワハラだとか騒ぐやつが増えているという話だ。

嫌なら断ればいいだけだし、それでもしつこいようならセクハラというよりはストーカー予備軍になりうる存在として刺激せず距離を取るのがいいだろう。

叱られたくないのなら、もっときちんと見直しをして完璧を目指せばいいだろう。


と俺は思うのだが、俺の考えでは通用しないのが今の日本らしい。

クソみたいな国だなと笑うと男は目を伏せ口角を上げていた。


これだけでは無い様々な話を信者たちから聞くが、聞けば聞くほどそっちの庭の方がよっぽど醜くて住み心地が悪そうだと思ってしまう。


何が正しくて何が正解で何が良いのか分からないな。

普通って一体なんなんだろう。困ったな。

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