表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密の報告書  作者: 藤岡
57/96

08月01日

今日は孤幸祭の日だ。

現場に行かないと言っても、用意は手伝わなければならない。

看板を作れだの、景品をまとめろだの、色々と指示されながら光司の世話をしていた。

暑さに弱い俺は誰よりも汗をかいていた気がする。

そんな俺の隣に来て必死にうちわで扇いでくれる光司は、げっそりとする俺にとっての唯一の癒しだった。


今もまだ孤幸教の仕業だと決めつけ探ろうとしている奴らがいるらしい。

もういっその事、孤幸祭に足を運び教団員に直接聞けばいいのに。

だけどきっとそんなことが出来るのは人の粗探しをして飯を食ってる奴らだけだろう。

噂話が好き程度の奴らは所詮、人からの情報を今か今かと目を光らせて待っているだけで自分は何もしない。

だけど、中には自ら足を動かす者もいる。

そいつらには細心の注意を払わなければならない。

何をしてくるのか分からないからな。

結局記者だとかそういう奴らは直接的に命に関わるようなことはしてこない。

といっても最近では言葉の暴力を平然と振り下ろし、それが積み重なり暴力を受けた方が自死する道を選ぶことが増えたと聞くから、命には関わっているんだけど。

そうだな、直接刃物で突き刺してくるだとか、切りつけてくるだとか、薬を盛ってくるだとかそういう関わり方はしてこないと言った方がいいのかな。

そういうことをしてくるのは、自分の中で真偽不明な情報を自分勝手に組み立てて、自分の都合の良いようにだったり、思い込みだったりで相手に対して周りが冷めるほどの熱量で攻撃したいと考えるやつら。

こういうやつらはもう、失うものが無いだとか、正義の面をして直接的に奪いに来る。

あとは協力者の家族だったり友人だったり。


孤幸祭は楽しみの真隣に危険が居座っているんだよ。

だから、警察も数多く出動し警備をするし、教団員も屋台で商売する側と警護する側で分かれている。

俺が現場に行くとすれば警護側だっただろう。

人相手に商売できるほどの愛想もなけりゃ、こんなくそ暑い中有難うございましたなんて言う気力もない。

何事も無いことを願いながら裏で涼んで過ごしてたいんだ。


用意しているのを見ていた光司は少し興味があるようだったが、さすがに孤幸祭には連れて行けない。

そもそもまだ外に出せない。

人目に付く場所に出られるのは早くてあと八年位かな。

変装をするといっても、こんなに暑いんだ。

帽子を被らせるのがやっとで、マスクだとか顔を覆うような事はさせたくない。

もう少し大きくなったら孤幸祭じゃない他の祭りに行こう。

俺がそう言うと光司は小指を立てて突き出してきた。

指切りをしろということだろう。

俺は光司の小さな小指に自分の小指を絡ませ、嘘をついたら針千本飲みます。と、残酷なセルフ拷問の約束をした。

光司は満足そうにケタケタと笑っていたが、想像しただけで血の味がする。


孤幸祭は二日間行われるので、明日もまた朝から荷物を車に詰め込んだりと雑用をしなければならない。

だけど、いつもより静かな夜は心が落ち着いた。

光司ものびのびとしているようだ。

風呂上がり、俺たちはアイスを片手に庭に出た。

夜風を浴びながら食べるアイスはいつもより美味く感じた。


光司の手を伝うアイス。

ポタポタと地面に落ちていき、光司が慌てて大きく口を開いた時、半分ほど残っていたアイスは棒から滑り落ちた。

呆然とする光司を見てつい笑ってしまったが、可哀想だったので「残り物で良ければどうぞ」と手に持つアイスを差し出した。

光司はチョコレート味が好きで俺はバニラ味が好きなんだけど、光司はまだバニラはあまり好きじゃないみたいだ。

また明日食べようねと言ったら、しょんぼりとしながら頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ