07月10日
七夕の翌日
目を覚ました光司は俺の顔を見ると泣いたんだ。
悲しくてというより、安堵してといった感じだった。
俺を一番恐れているのでは?というのは、やはり俺の考えすぎだったのだろうか。
どちらにせよ、すっぽりと収まるこの小さな命を守ることには変わりないのだけれど。
喧嘩をしたあとのカップルのような、どことなく気まずい雰囲気が漂っていると思ったのも、もしかすると俺だけだったのかもしれない。
光司がどう思い、何を考えているのか。
未熟な俺はまだそれを知らないままだ。
今日は朝から夜まで光司と一緒にいることが出来た。
別にやることは変わらない。
勉強をしたり、絵を描いたり、運動をしたり。
外にいる子供達は友達と遊んだりして過ごしているのだろう。
それが当たり前であり普通の世界。
だけどここはその世界とは違う。
俺が子供の頃も友達と遊ぶなんて経験はしていないし、友達と呼べる年齢の子もいないに等しかった。
俺は、光司に普通の世界を見せてやりたい。普通と呼ばれる未知なる生活をさせてやりたい。
そう思うんだ。
それが正しい答えでは無いということは重々承知した上だ。
光司も既に教団員の一人として扱われている。
あの日、あの時、あの瞬間から光司は教団員になったんだ。
教祖様はそれが一番安心であり、一番幸せな事だと仰るが、それはどうだろう。
俺が幸せを感じたのは、心の底から本当に嬉しいと思えたのは、これが喜びなんだと実感したのは、つい最近の話だから。




