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秘密の報告書  作者: 藤岡
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06月27日

俺たちは以前と変わらぬ生活を送っている。

本当に、何も無かったかのような生活を。


自由を取り戻したあの日から俺は毎日のように光司を外に連れ出している。

散歩という名の体力作りだ。

光司が信者や協力者と会ってなにかをするというのはもっとずっと先の話だが、今のうちから体力作りをしておいた方がいざという時に動きやすい。

俺が光司の体力作りの為に毎日散歩や運動をしている事は教祖様はもちろん、幹部や上層部、教団員全員が把握済み。

朝礼で話したからな。

勿論、言い渡された仕事はきちんとこなす。

その間光司は部屋で自由に過ごしてもらっている。

自由に過ごすといっても、光司は自ら文字の読み書きを優先するのだから、勉強熱心で賢い子だ。


体力作りもいきなり長距離を走るだとか、そんな無理はさせない。

昨日より一歩でも先に進む。

それさえ出来れば満点だし、出来なくてもまた明日頑張ればいい。

運動も、ボールを使うならまずは転がすところから始めよう。

走るというなら光司が好きな距離を好きなスピードで走ればいい。

大丈夫、俺は置いていかれないし、置いていきもしない。

自分のペースで楽しいと思える範囲でやれればそれでいい。

それを継続するのが大切なんだ。

気付いた時には、最初の頃より楽に動けるようになっているはず。

ボールだって、怖くないと、楽しいものだと思うことが出来れば、受け取る事に怯えなくなるし、目を瞑ることも無いだろう。

教団員の中には、出来ないからと馬鹿にして笑ったり、怒鳴りつけるやつもいる。

俺はそんな事しない。

光司が出来ないことをサポートするのが俺の役目。

光司が出来ないと落ち込んでいれば、出来るようになるまで支え続けよう。

人は誰だって初めてを迎える。

すぐに適応できる者もいれば、そうでない者もいる。

人それぞれの得意分野がある。

そんなことも理解せずに、よく世話係なんてやっていたな。


まぁ、俺の世話係の話なんだけど。

俺は光司に同じ思いはさせない。

俺が嫌だと思ったことは光司にしない。

今更あの世話係に感謝しているよ。

お前がいたから今の俺がいる。

教祖様や幹部達の前では良き世話係を演じそれに俺を付き合わせたお前がいたから。

もっと早くに感謝できていれば、お前もまだ笑えていたのにな。

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