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秘密の報告書  作者: 藤岡
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06月21日

面白いことがおきた。

あれだけ騒いでいた世間は、何事も無かったかのように静まり返り、俺たちの生活を邪魔していた記者たちは忽然と姿を消した。

飽きないのか?と聞きたくなるほどに取り上げていた新聞、週刊誌、情報番組から孤幸教という名を見聞きすることも無くなった。

教団の仕業だと言われていた男女の死亡。

それをやったと名乗り出た男がいたのだ。

この男は信者でもなんでもない知らない男だ。

孤幸教から命令され出頭したのではないか?と馬鹿げたことを言うやつもいるが、ほとんどの人間はもう関心が無いようだ。

人間は面白いな。

あれだけ人の生活を壊し、心を蝕む行為を行ったのにも関わらず、関心が別のものへと向かった途端に謝りもしないで知らんぷり。

お前たちが普通に過ごしていた数日、怯えて過ごした奴がいるなんてこれっぽっちも考えていないのだろうな。

俺は見ていないがSNSとやらで騒ぐ阿呆が数え切れぬほどにいたと聞いた。

憶測に憶測を重ね、事実では無い事をあたかも事実かのように話、待ってましたと言わんばかりに教団の悪口を書き込んでいたやつらが。

そして、不確かな情報を鵜呑みにして一緒になって騒いでいた愚かな馬鹿共が。

ここまで足を運び、事実確認をした上で話してもらいたいし、騒いでほしいものだな。

まぁ、そんな事しないんだろうけど。

電話をかけてくるとしてもどうせ非通知だろ?

面と向かって同じ文言を教団員や教祖様に言えるか?言えないだろ。

俺はそのSNSとやらをやった事がないから分からないが、楽しいのか?

その標的が自分になったとしても、それは勿論許すんだろうな。

じゃなきゃおかしいよな。

俺の中ではこう考えるのが普通だが、世間ではどうなんだろう。分からないな。


そんなくだらない話はどうでもいい。

教祖様は前の生活に戻ったと仰った。

久しぶりにやってきた信者達は皆俺たち教団員の心配をしていた。

数が減ったのかどうかはまだ分からない。

そもそも、信者になるにはそれなりの流れがあるが、辞める時に必要な決まりというのは特に無い。

何も言わずに消えたやつらなんて沢山いるし、わざわざ言いに来るほうが珍しい。

辞めると言えば殺されるだとか、金を払わないといけなくなるとか、そんな噂があるらしいがそんな事はない。

それが事実なら、この国の人口はもっと少ないはずだろう?


教祖様は言った。

我々は何もしていないのだから、怯える必要は無い、と。

今回こういう対応をしたのはあくまで教団員の身の安全の確保を優先した結果であり、後ろめたさからきたものでは無い、と。

外に住まう教団員も全員無事だったと言う。

きっと、俺たちには何も言わず、教祖様が一人で守ったのだろう。


俺はカメラ部屋で周囲に不審な人物はいないか確認をしてから光司を連れて外に出た。

引きこもり状態だった時は雨が降り続け、それが更に俺たちの気を沈ませていたが、今日はよく晴れている。

光司も久々の外出でどこか楽しそうだった。


今日はいつもより時間をかけて散歩をした。

帰ると教団員から、どうしてあの場所に?と聞かれた。

俺は、いずれ光司もあの場所を利用するのだから、今のうちから体力をつけておかなければならない。と説明した。

教団員は納得した様子だった。

光司は歩き疲れたのか、部屋に戻ると俺に寄りかかりウトウトとした表情を見せる。

せめて風呂に入って食事を済ませてから眠ってほしいが、今日はよく頑張ったので大目に見ることとする。

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