05月20日
今日は光司と散歩に出た。
転ばないように手を繋いで、おにぎりとお茶を持って散歩をしたんだ。
おぼつかない足取り。いつ転んでもおかしくはない。
だけど、俺がそれを阻止する。
光司には不要な怪我はさせたくない。
中には、怪我をした方が痛みに強くなるだとか、痛みを覚える必要があると言う教団員もいるが、痛みなんてすぐに忘れてしまうのだから、強くなるもクソもねぇだろ。
痛みを覚える必要はある。
痛みを知っていれば、自分が他者に向けて暴力をふるう時に加減が出来るからだ。
この程度なら死なないとか、この程度ならこれ位の怪我で済むとか。
なんとなく分かるようになる。
ただこれは、人によって個体差があるから曖昧なもの。
仮の定規でしかない。
それに、俺は光司にそんなことはさせるつもりは無い。
自ら人に対して暴力をふるうなんて、そんな事しなくていい。
自分が殴られた時、蹴られた時、やり返さなくちゃ殺されてしまうなんて状況に陥った時、そこで初めて暴力に頼ってもいいとは思う。
まぁ、俺がそんなことはさせないけど。
誰も光司に手を出させない。俺が許さない。
俺と光司は飯を食うことにしたんだ。
街を見下ろせる場所で。
光司は目を輝かせていた。
向こう側に行きたいのか?と聞くと、光司は首を横に振った。
でも俺は見逃さなかった。
返事をする前、俺の言葉を聞いてすぐに身体が強張ったのを。
光司にとっての俺は、他の教団員よりも優しく接してくれるだけの悪なんだろう。
そりゃそうか。両親を奪った一員なんだから。
たくさん憎めばいい。たくさん恨めばいい。
それでも俺は無数の悪からお前を守ってあげるから。




