05月10日
信者から教団員へ手紙が届くことはたまにある。
教団員から信者へ返事をする事は無いに等しい。
だから俺も返さない。
返す方が怪しまれるからだ。
直接会いに来る。その時に返事をと書いていたけれど、正直答えを出せる自信がない。
俺が知らないだけであの場所の音声が筒抜けなのでは無いか?とか、これは教団と警察が手を組んだ教団からの試し行為なのでは無いか?とか、今まで考えもしなかったことを考えるようになった。
もし俺が警察に協力すると言ってしまったら、その時点で俺は教団の裏切り者。
裏切り者が辿る末路をよく知っている俺が裏切る?
そんな性癖は無い。
信者の裏切りより、教団員の裏切りの方が罪深い。
信者の裏切りより、教団員の裏切りに対しての罰は……。
そもそも俺が裏切る前提で考えるのが間違いだ。
だけど、答えを出せないと考えている時点で、俺は悩んでしまっているのだろうな。
こういう未熟な部分が嫌になる。
俺は、この命を教祖様に捧ぐと決めただろう。
どうしてそんな事を、いつそんなことを、決めたんだっけ。
なにより、俺がもし裏切ったとすれば光司だって……。
その為に世話係にしたのか?
俺が絶対に裏切れないように、人質として光司を俺のそばに置いた?
駄目だ。そんな訳ないだろう。
俺は一体何を考えているんだ。
俺が今すべきことは、光司を導いてやること。
俺が今すべきことは、教祖様の為に働くこと。
曖昧な過去に惑わされるな。
不確定な過去なんかに惑わされるな。
俺が見るべきは過去じゃなくて未来だろう。
何度いい聞かせれば俺の未熟な脳はそれを理解するんだ?




