05月04日
俺はこの短期間で光司に対して強い思いを抱いているなと、ふと思った。
出会い方が悪かったからだろうか。
きっと、あの時のあの目を見ていなければ俺はここまで光司を大切には思えなかったのだろう。
自分を庇う父を、そんな父を蔑む教団員を見る恐怖と憎悪の混じったあの瞳。
俺の頭にこびりついて離れない。
数え切れないくらい、光司のあの時と同じような目で見られてきただろう。
その瞳から何度光を奪ってきたんだ?
何度、助けを求める手を振り払ってきた?
何度、人の道を途絶えさせてきた?
俺は、光司の道を途絶えさせたくない。
それがぬかるんだ道だとしても、急な坂道だとしても、沼へと続く一本道だとしても、導いてやりたい。
そこに一人にするつもりはない。
ずっと、そばにいてやる覚悟だ。
ぬかるむ道で滑ると言うのなら、俺が強く手を握り引いてやってもいいし、おぶってやってもいい。
坂道だって同じだ。その手を離すことはないだろう。
沼へと続く道へ入り、呼吸が苦しくなった時は、肩車をしてあげる。
俺よりも長く、俺よりももっと先の道を見てほしい。
俺よりも、ゴールへと近づいてほしい。
どこが終着地点なのか、何をもってしてゴールと呼べるのかは未熟な俺にも分からない。
そこに導くことが正しいのかさえ分からないけれど、教祖様が正しいと仰るんだ。
そこに導く為に俺は世話係を任されたんだ。
数多くいる教団員の中から、俺が選ばれたんだ。
結局これは光司の為じゃなくて俺のためなのか?
結局俺は、光司という盾を使って教祖様の為だけに動いているのか?
それでいいのか?
いいに決まっているか。そうだよな。
だって、俺たちは教祖様のために生きているのだから。
多くの命を奪ったとしても、それは必ず教祖様の力になるし。
怪我をしたって、痛い思いをしたって、苦しい思いをしたって、教祖様と顔を合わせて話せば傷は癒え痛みも苦しみもすっと消える。
俺はなにが言いたいんだろう。
俺はなにがしたいんだろう。
俺は、どうしてあいつの為に?
あいつ?あいつって誰だ?
なんだ?
最近、俺の中にもう一人誰かがいるような、そんな感覚だ。




