表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密の報告書  作者: 藤岡
31/96

04月27日

今日は地下の掃除をした。

光司はもちろん部屋で留守番だ。


ドロドロの飯に汚れた小部屋。

汚れた布と不潔な髪。

そういった人間が集まる地下。

その奥には教団員の浄化部屋。

ここの臭いは説明するまでもないだろう。

どれだけ掃除をしようとも、場所が多少綺麗になるだけで、人から放たれる臭いに変わりは無い。

潔癖症じゃなくても鳥肌が立つような場所だ。


俺が掃除をするすぐ横の部屋では、一人の男が暴れていた。

教団員が数人がかりで押さえ付けていたが、今日はこいつに傷を付けることは許されない。

その時を迎えた協力者には、最高に幸せだと思える時間を過ごさせなければならない。

嫌だと、辞めてくれと、許してくれと叫ぶ男が連れていかれるのは別館だ。

この本拠点と呼ばれる信者が集まり、教祖様や俺の部屋があり、そして教団員が食事をしたり休んだりする大きな建物とは別に、少し離れた場所に小さめの別館と呼ばれる建物がある。

そこで協力者は身なりを整えるのだ。

温かい風呂に入り、出来たての飯を食い、綺麗な服を着る。

当たり前だと思っていたその時をまた過ごせる場所。


もてなされる事に警戒する協力者も、美味い飯を食えば頬を緩ませる。

温かい湯に浸かり、溜まりに溜まった汚れが落ちて身も心も清められ、穏やかな表情になる。

良い匂いのする手触りの良い布を身に纏うと、安心した顔をする。

そのまま、深い深い眠りにつく。

幸せを胸に、この世で唯一の存在である教祖様の力となれる。

だから、今日は教祖様の食事は必要ない日だ。


これが女だった場合はまた少し違ってくる。

どんな理由があろうとも協力者になった時点でそいつは人として見られることはない。

教団の商品となるんだ。

これは性別を問わず言えることだな。

唯一それに当てはまらないのが耐え忍び忠誠を誓った子供だろう。

光司がそうだ。

別に本人は誓いたくて誓ったわけでも、従うつもりも無かっただろうが、教団員になる道を選んだ時点で人権は確保される。

いや、教祖様以外の人間にはそんなものは必要ないから確保されるはおかしいか?

でもまぁ、協力者や教団に歯向かうようなやつらよりはよっぽど人として扱ってはもらえるが。

教祖様がいて、教団員がいて、信者がいる。

それ以外は全員人権があるなしなんてすら考えられていないし、考える必要も無い。

これもいずれ光司に教えなければならないな。


男は大抵金となり教祖様の血肉となりその命を教祖様に捧げる存在。

女は金にしかならない。

たまに教祖様が部屋へ連れ込むが、生きて出てきたやつを見たことがない。


人の臓器を売ってはいけない。

人の皮膚を 眼球を 髪を 売ってはいけない。

生きている人を誰かの玩具にしてはいけない。

流し金を受け取ってはいけない。

俺だってそれくらい分かってる。

分かってるんだ。

でも、やらなきゃいけない。

そして、いずれ光司にもさせなければならない。

これをすることによって教団は潤い、教祖様が喜ぶ。

だから、やらなければならない。


光司にも……?

本当にそんな必要はあるのだろうか?

などと疑問に思ってしまう俺はまだ未熟者だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ